【連載:静かに寝たいあなたに】vol.2

卵パック、段ボールに防音効果があるという噂は本当? 防音グッズ専門店が解説【前編】

■今の家はうるさい――和室はなぜ落ち着くのか?

梶原 昔の和建築は、床は畳、塗り壁、天井は板が用いられていました。これらの素材は吸音性が高く、「しーん」と静かなんです。わび、さびの落ち着く空間なんですね。

――和室が落ち着くのは雰囲気からと思っていましたが、音を吸い込むという意味でも落ち着く要素があったんですね。

梶原 はい。一方で、今の家は床はフローリング、壁はビニールクロスと、「気密性」を重視した作りが主です。そのため吸音性は下がり、音が響きやすくなりました。外から家に入ってくる騒音が家の中で反響し、なかなか音が逃げてくれないんです。

 今の家の構造は、音を気にする人にとっては、イライラしやすい家と言えます。

 

■救急車のサイレンは防音しやすくて、トラック走行音は防音しづらい理由

――防音の各種サイトを拝見しますと、「デシベル」と「ヘルツ」が出てきますがこれらの違いは何でしょうか?

梶原 デシベルは「音の大きさ/小ささ」、ヘルツは「音の高さ/低さ」です。

 デシベルは、完全なゼロはあり得ず、しーんとした図書館でも30デシベルくらいあります。TVをつけると50デシベル、音楽が流れている環境で80くらい、ピアノを演奏して110くらいですね。

 一方ヘルツは、車のエンジン音は低く100ヘルツくらい、モスキート音と呼ばれる蚊の羽音のようなあの高音は2万ヘルツくらいです。女性や子供の高い声は1000~2000、低い男性の声で500くらいです。なお、防音対策をしやすいのは「より高い音」です。低い音ほど、防音は難しくなります。

――ピアリビングさんのお客さんは、どうやった音で悩まれていることが多いですか?

梶原 都内の方ですとやはり車の音ですね。環七、環八などの大型幹線道路沿いに住まれていて、車の音に悩まされている方は多いです。走行音が響くトラックは道が空いている夜中や朝方の運行も多いですから。あと救急病院の近くに住んでいる方で、夜中の救急車のサイレンがうるさくて困られている、というケースもあります。

――本当に「気になる音」って、人それぞれですよね。私は車の走行音はほとんど気になりませんが、人の声はわずかでも気になって目が覚めてしまいます。

梶原 「人の声」が苦手な方は多いですね。当社のショールームでも防音カーテンなどを引いた奥でさまざまな音や声を流し、防音効果を体験していただいています。

 カーテンの向こうで音楽を流すと「カーテンがあると気にならないほど小さくなった」と言われる方が多いんです。一方で、人の話し声は一度その人にとって「嫌な声、うるさい声」と聞こえてしまうと、カーテンである程度の防音効果が出ていても「気になる」という感覚が残る方が少なくありません。

 * *

 原稿中編では手ごろな値段でも購入できる防音対策アイテム「防音カーテン」について引き続き室水氏、梶原氏に話を伺う。取材から「防音カーテンを買ってみたけれど効かない」という人には、効かない理由があることが分かっている。次回も静かに寝たい方は必見だ。

(文/石徹白未亜 [https://itoshiromia.com/])

 

◆石徹白未亜の過去記事はこちら(【おたぽる】【日刊サイゾー】)から◆

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