『月がきれい』8話 夏祭り、今日から“ちゃん”付け呼び、そしてキス。究極の恋テロアニメに今週も地獄を見た

■恋テロ連続爆破ポイント接近!

 第8話のクライマックスは夏祭り。小太郎と茜が訪れる川越氷川神社の「縁結び風鈴」は毎年夏に行われている恒例の祭事。「風鈴回廊」や「光る川」などが名物で約20万人が訪れる。今年は7月1日から9月10日まで。『月がきれい』視聴者はぜひ訪れてみよう。そして一人で訪れてしまったことを悔やもう。

 浴衣姿の茜と夏祭りデートする小太郎が浮かれないはずがない。だが、ここでも小太郎の描写は抑えめで、茜に焦点が当たっている。茜だってしっかり浮かれているのだ。わずかな所持金で小太郎の誕生日プレゼントを物色する姿が、いかにも中学生らしくて微笑ましい。縁結び短冊だってやりたかったのは茜のほうだ。小太郎はお金を出して、茜の気持ちをサポートしている。

 履物の鼻緒で傷ついた茜の素足を手に取って手当をするシーン、茜から小太郎に誕生日プレゼントの「べにっぽ」を渡すシーンを経て、2人きりになった小太郎と茜はお互いの呼び方を「水野さん」「安曇くん」から「茜ちゃん」「小太郎くん」へと変化させる。そしてキスシーン! 今週の恋テロ連続爆破ポイントだ。ああああああ。

 このシーンの芝居も面白い。「べにっぽ」を弄っていた茜に手を重ねる小太郎。茜は小太郎の手の感触に反応する。小太郎は茜を見つめているが、茜が反応すると照れて視線をそらす。茜はうつむきがちだが視線の方向は変わらない。再び小太郎は茜のほうを向くと、茜は少しだけ視線を上げる。茜はほとんど動いておらず、小太郎だけが動いている。2人はロングショットでキスをするのだが、顔を近づけたのは小太郎のほう。小太郎が積極的なようでいて、実は茜が小太郎の動きをじっと待っているように見える。

■絶叫上映会を開いてみたら面白い……かも

 2人が夏祭りでキスをするシーンで流れるのは、東山奈央がカバーした「夏祭り」。もともとはジッタリン・ジンの曲だが、Whiteberryのカバーが印象に残っている人も多いだろう。ベタといえばベタだが、これ以上ない選曲だと思う。

 曲といえば、今回はエンディングテーマ「月がきれい」の2番の歌詞そのままのエピソードだった。

 歌詞は茜の視点で描かれている。茜にとってこの日がとても大切なものだったということがよくわかる詞だ。

 2人の恋愛はずっといい感じで続いてきた。この甘い感じは、めちゃくちゃ古くて恐縮だが、ちば拓のマンガ『キックオフ』(集英社)を思い出す。その甘さがクセになるのだ。今後訪れる2人の恋愛への障害は、たぶん2人とは関係のない外部要素だろう。ラストで映し出される2人が書いた縁結び短冊「ずっと一緒にいられますように」は恋テロ爆破ポイントだったが、なんだか今後の2人の行く先に不安を感じさせる。

 8話は作画が非常に不安定だったが、これだけ「縁結び風鈴」をしっかり描いているのだから仕方ないという気分にもなる。ディスクまでには修正が入ると思うので、楽しみに待ちたい。

 Cパートも絶好調だ。今回は本編で「彼氏とかめんどくない? マジわかんないわー」と呟いていたストイックな滝沢葵(演:白石晴香)が、陸上部では後輩男子から注目されていたという「女一匹 滝沢葵」がグッド。本編のセリフを引き取りつつ人物像を膨らましており、クラスのキャラクターをモブ扱いしないという制作側の意気込みを感じさせる。

 それはそうと、公式さんには今度ぜひとも絶叫上映会を開催してほしい。みんなでキュンキュンしながら「ああああああ」とか「うわあああああ」と叫び、二度と返ってこない青春を思って涙したい(マジで地獄)。
(文/大山くまお

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