鬼才・井口昇監督が描くホラーショートアニメ『世界の闇図鑑』第1話「誘惑の黒い影」レビュー

鬼才・井口昇監督が描くホラーショートアニメ『世界の闇図鑑』第1話「誘惑の黒い影」レビューの画像1テレビ東京・あにてれ『世界の闇図鑑』公式サイトより。

 AV、ピンク映画、そして一般作とジャンルを超えて活躍する監督・井口昇によるホラーショートアニメ『世界の闇図鑑』(テレビ東京系)が4月2日深夜より放送開始! AVではスカトロとゲロ。一般作でも吹き出物、ホラー、怪獣、変身ヒーローなどなど、コアなモチーフに執着する「鬼才」としか呼びようのない井口監督が、どんなアニメを作ったのか? 早速報告させていただきます……

 か、紙芝居です!! こう来ましたか!!
 
 映像はすべて劇画タッチの静止画。たまに細部が動くだけで、あとはカット割りやズームといった編集効果でドラマを演出するパターンだ(『ゴルゴ13』のTVアニメがコレですね)。台詞は最小限、ストーリーや心理はすべてナレーションで説明。まさに紙芝居である。

 ちなみにナレーションは今をときめく斎藤工! 渋い声が作品の雰囲気的にもバッチリ、いやジャスティスである。イラストを手掛けるのはは特撮マニア界隈でも有名な漫画家&イラストレーターの海老原優。レトロな劇画タッチの絵柄はオドロオドロしく、絵だけでも十分にホラー感が味わえる。

 ここでストーリーを要約してみよう。

「嫁が毎晩出かけるので、気になった旦那が後を追ったら、森の奥で夫婦ともども宇宙人にさらわれました。2人はこれから宇宙船内で、宇宙人にいろいろ実験されるっぽいです」

 以上! 5分アニメだからという事情を考慮してもベタベタ、説明ゼロ、ぶん投げである。奥さんが毎晩出かけてたのは何故? 旦那が後を追うまでさらわれずにいたのはどうして? ぜんぶ宇宙人の策略? 催眠術的な? とツッコミたくもなる。
 が、こうしたシンプルで豪快な内容が妙に懐かしく不気味で、素直に楽しいのも事実。古臭くてショボそうなお化け屋敷でもいざ入ってみたら普通に怖い。それに通じるものがある。

 そもそも公式サイトからして清々しいほどネタバレしており(宇宙人の絵まで載ってる)、斬新さや意外性、お話の妙味で楽しませる気はゼロ。「ベタでも古臭くてもいい!」という作り手の意図は明らかだ。

 紙芝居演出で宇宙人誘拐ネタ(だけ)をやり切った、レトロすぎる第1話。ここまでベタ、前時代っぷりを徹底されると逆に新鮮だ。ホラーや怪奇、オカルトに魅了された子供時代を思い出してしまうほど。第2話以降もこの路線をブレずに続けていただきたい。 
(文/JUP-ON STUDIO) 

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