会員番号29番は永遠に──「渡辺美奈代デビュー30周年記念コンサート」レポート

1609_watanabemiyano.jpgデビュー30周年を迎えた渡辺美奈代

 おニャン子クラブにはいくつかの派閥があった。とはいっても、メンバーではなくファンの話。

 最近よくテレビでも話題にされる新田派と国生派、うしろゆびさされ組の高井派とゆうゆ派、そして「W渡辺」と称された2人の美奈代派と満里奈派。私はそれぞれ、国生、ゆうゆ、そして美奈代派だった。

 その渡辺美奈代の魅力とは何だったのか。

 一言で言ってしまえば、基本的に素人の集団であったおニャン子クラブの中で、数少ない「プロのアイドル」だった点だ。

 おニャン子加入前から、地元のスクールでレッスンを受け、事務所にも所属していた。当然、彼女の中でも「アイドルになる」という強い意志があったものと思われる。

 加入後、わずか8カ月でソロデビューしたのも、そのデビューイベントで武道館を満員にしたのも、彼女のその思いがあったこそであろう。

 その思いは、おニャン子の解散、自身の結婚、出産を経ても変わることはなく、引き続き芸能活動を続けながら、節目節目でコンサートも行ってきた。

 そして今年、デビュー30周年を迎え、記念アルバムを発売するとともに、30周年記念コンサートを開催したのだ。

 今回はそのコンサートに参加したので、レポートしたい。

 9月25日、会場となる竹芝ニューピアホールに行くと、すでに入場列が長く延びていた。今回のグッズである「FOREVER 29」と書かれたTシャツを着た人たちも多くいる。ちなみに「29」は、おニャン子クラブ時代の彼女の会員番号である。

 ロビーに入ると、彼女のヒット曲が流れており、それらのシングルのゴールドディスクや、関係者からの花などが並べられている。アイドル時代から仲のよかった西村知美や浅香唯の名前入りのものも見られた。

 開演時間の18時、ステージの幕に映像が映される。

 登場したのは、なんと郷ひろみ。渡辺美奈代とは、家族ぐるみの付き合いがあるとのことで、そのエピソードなどを話す。

 そしていよいよ、コンサートスタート。

 ピンクのミニスカート姿で登場、1曲目は「太陽がやってきた」。

 ライブでの定番曲に、観客は立ち上がり、「みなよー!」とのコールが起こる。後方には、当時の親衛隊の方々が集まっているようで、いっそう大きなコールが聞こえてくる。

 続いて流れてきたのは、印象的なギターのイントロ。9枚目のシングル、ムーンライダーズの鈴木慶一作曲による名曲「抱いてあげる」だ。この曲は私も大好きな曲。懐かしさと感動がじわじわと広がってくる。

「ちょっとFallin’ Love」「両手いっぱいのメモリー」とシングル曲を披露すると、再び幕が下り、今度はおニャン子の生みの親、秋元康からのコメントが流れる。

「渡辺美奈代は、王道のアイドルであるが、実はしっかりしていて礼儀正しい。家庭と仕事を両立していることからもそれはわかる」との内容に、大きく同意する。

 そして幕が上がり、デビュー曲「瞳に約束」。

 今まで以上に会場が盛り上がり、サビの部分では大きな「みなよー!」コールが起きる。

 歌い終わると、客席から「可愛い!」との声がかかる。

「これを言われるからアイドルやっていられるのよねー」と返しながら、デビュー曲から5作連続でオリコン1位をとったことなどを話し、「それを順番に歌っちゃいます」と言って曲に入る。

「雪の帰り道」「TOO ADULT」「PINKのCHAO」「アマリリス」と歌って、いったんステージ袖へ。

 会場では、『夕やけニャンニャン』(フジテレビ)でのオーディションの様子が流される。確かに若いが、その愛らしさは今でもまったく変わっていないことに驚かされる。

 再び登場した時には、グリーンの衣装にチェンジ。ここからはおニャン子クラブの歌を続けて歌う。

「割ってしまった卵」「避暑地の森の天使たち」「真っ赤なミニスカート」。

 ここでMC。

「このコンサートは、観客の皆さん参加型ですので、ぜひ一緒に盛り上がってください」と話し、グッズのタオルを回す曲や、サイリウムのタイミングなどの説明を行う。お客さんとのやりとりも実にうまい。

「愛するより愛されたい」、続く「Tururu」では観客と一緒にタオルを振る。「カメオのコンパクト」「ラストダンスはあなただけに」で、再び袖に行く。ステージ上では、「Winterスプリング、Summerフォール」のインストにのせてバンドメンバーの紹介。

 そして「靴をはいたサマー」で登場したときは、白いドレスに身を包んでいた。「ガラスの一秒」「グッバイBOY」と披露して、続いてはなんと撮影タイム。

 まずは、ステージ側から観客と一緒に一枚、その後は、客席から彼女を自由に撮っていいというフリータイム。

 ステージ上を右や左に動きながら、ファンサービスをする姿はさすがとしか言いようがない。

 ここからはもう終盤戦。「リルケの栞」、続く「ガールズ・オン・ザ・ルーフ」ではドレスを脱ぎ捨て、白のミニスカート姿に。「恋愛(ロマンス)紅一点」「キッスの蕾」を披露して、終了。

 アンコールの声が上がる中、スクリーンにはこれまでの彼女の記録が映し出される。

 デビュー曲から連続5作1位というのは、当時の新記録だったこと。ソロでの再デビュー(おニャン子クラブ名義でのデビューがあるため)歌手に限れば、現在も記録は破られていないことなど。改めて、彼女の残したものは大きかったのだと感じさせられた。

 アンコールでは、ヒット曲となった「瞳に約束」「TOO ADULT」「PINKのCHAO」を再度披露し、終了となった。最後には、スタッフやファンへの感謝の言葉とともに「これからも生涯アイドルでいます!」との宣言もあり、幸せなライブとなった。

 終了後には握手会もあり、間近に彼女を見たが、可愛らしさはまったく衰えておらず、またアイドルオーラもひしひしと感じた。

 なかなかアイドルと家庭を両立させている人は少ないが、彼女のような存在がいてくれると、ファンとしてもうれしく思う。

 彼女の功績は、ランキングの記録だけではなく、後から続く人たちに「アイドルとして生きる未来」を示していてくれることだろう。これからも、彼女に続き、「生涯アイドル」そして、家庭では良きお母さん、という例が出てきてくれることを期待しよう。
(文=プレヤード)

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