『ポケモンGO』の普及によって、目の前の現実の風景にデジタルな造形物が現れるAR(拡張現実)技術が脚光を浴びているが、まだまだいろんな“遊び”の可能性が広がっているようだ。
■“床は溶岩”ARゲームが開発中
「ケイドロ(ドロケイ)」や「ダルマさんが転んだ」など、子どもの遊びもまたスポーツのようにルールを決めてプレイしているのはご存知の通り。子どもにとっては遊びながらであれ、最初に集団内でルールを守って行動する体験になるのかもしれない。
欧米では「The Floor is Lava(床は溶岩)」という子どもの遊びがある。文字通り床が真っ赤に煮えたぎる溶岩だと仮定して、椅子やソファ、テーブルなどをつたって床に足を着けないように移動する遊びだ。床に接したが最後、焼け焦げて即死(!)である。
なかなか素朴で微笑ましい遊びの“床は溶岩”だが、この遊びをマイクロソフトのAR機器・ホロレンズを使って子どものみならず大人も楽しむべく、現在ARゲーム化が進行中だ。タイトルもそのものズバリの『The Floor is Lava』で、米・ロサンゼルスのデべロッパー、HoloFriendsがホロレンズ版ゲームとして鋭意製作中である。
動画ではまさにAR技術によって、部屋の床が真っ赤な溶岩流になった光景が広がっている。単純に“溶岩”の臨場感を高めるだけでなく、各所に浮かんでいるアイスクリームを取って集めるというゲーム要素が加味されているようだ。
「自宅の落ち着く場所に突然、真っ赤な溶岩が流れてきたら……。…(中略)…心配いりません。我々はこのような非常事態に備えるトレーニングシミュレータを開発したのです。ホロレンズを装着してガイドに従いながら、溶岩を避けながらアイスクリームを食べまくる盛り沢山のアクションを体験をしてください」と同社代表は「Smash」の記事で語っている。大人になってから子どもの遊びをしてもあまり楽しめない人も多いと思うが、このようにARゲーム化されればまさに童心に帰って大人も興じることができるコンテンツになり得る良い例になったといえるのかもしれない。『The Floor is Lava』がどんな仕上がりになるのか楽しみだ。
■開発キット購入者はいち早くARゲームを堪能中
一方、今年3月からホロレンズの開発者向けキットがアメリカとカナダでリリースされたが、それに付属しているARゲーム『Fragments』が話題になっている。
フランスのゲームデベロッパー、Asobo Studioが開発したこの『Fragments』は、ホロレンズを装着し、自ら探偵となって事件を捜査する斬新な推理ゲームだ。そしてなんと事件現場は自分の部屋なのだ。ARの世界で現場検証を行なえることはもちろん、事件に関連する情報はすべて部屋の中で参照することができ、容疑者や目撃者を招集して部屋の中で“膝を突き合わせて”事情聴取することができる。そして、現場となった部屋を詳しく検分することで、思いがけない場所から新たな物証が発見できるということだ。
推理小説の名探偵にはシャーロック・ホームズのように危険な現場であっても足を運んで物証を手に入れようとする“行動派”が活躍している一方、目撃者や容疑者から話を聞くことをメインに、深々と椅子に座って頭の中で推論を組み立てる“アームチェア型”のタイプもいるが、この『Fragments』は後者のタイプの探偵となって、謎を究明することになりそうだ。
ホロレンズの開発キットにはほかにも、同じくAsobo Studioが手がけたキツネのキャラクターが活躍するARアクションゲーム『Young Conker』と、マイクロソフトが開発したARシューティングゲーム『RoboRaid』が同梱されている。コンシューマ版のホロレンズの発売についてはまだ公式なアナウンスはないが、先日には法人向けキットもリリースされていて、着実に普及への序章が進展しているようだ。来年以降に待ち構えている“ARゲーミング元年”が待ち遠しい限りである。
(文/仲田しんじ)
【参考】
・Smash
http://www.smash.com/floor-lava-game-played-kid-now-augmented-reality-video-game/
・Popular Science
http://www.popsci.com/hololens-fragments-crime-fiction-game#page-3
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