「日本テレビジョンって、日本テレビじゃないですよ」 古川タクが草創期にリアルタイムで体験したイラストレーションやアニメーション業界事情

hiro16taku3.jpg写真:ブースで自著『クレージーマンガ』にサイン中の久里洋二

 そして欠かすことのできない草月会館にまつわる話題も。「ちょうど同じ頃に久里さんと、真鍋博さん、柳原良平さんがアニメーション3人の会を始めて、その後にちょっと規模が大きくなってアニメーションフェスティバルみたいな名前になって、久里さんがアヌシー(国際アニメーション映画祭)で(『人間動物園』が)受賞して、そこで上映されてた作品を借りてきてたりとかしてました。ジャン=フランソワ・ラギオニーさんの『お嬢さんとチェロ弾き』とか、ジョージ・ダニングさんの『飛ぶ男』とか、凄く衝撃的なのを見て、その熱気が3、4年続いたかな」と懐かしんだ。

「草月会館は割と前衛的で先鋭的な美術学校の生徒が集まってきてて、ニューヨークから帰ってきたばっかりのナベサダ(渡辺貞夫)がコンサートしたりとか、寺山修司さんが演劇やったりとか、オノ・ヨーコさんがパフォーマンスしたりとか、そこに行けば毎日楽しくてですね。銀座に月光荘って画材屋さんがあるんですけど、後に森山良子さんが歌う『この広い野原いっぱい』の歌詞が書かれたスケッチブックをみんな小脇に抱えて、みゆき通りのジャズ喫茶とかでたむろしてました。それが夕方になると、ゾロゾロと草月会館に向かうんです」(古川)

 また、ジョージ・ダニングの『芝刈りデーモン』(原題『Damon the Mower』)が、みんなのうたで古川が制作した『以心伝心しよう』に影響を与えていることにも触れられた。

「もう長いことやってますから、当時、映像を見た人たちが業界の偉い人になってたりしていて、そこで必ず言われるのが、『タクさんの見て、絵なんてはみ出しててもいいんだってビックリした!』といったことですね。根本的に違うのは、大勢で作るのと1人で作ることだと思います。大勢で作るのは1つのものがあって、そこを目指して一緒に作っていくものなので、1人で短く気まぐれに作っていくものとは決定的に違うと思うんです。若い頃はとある決まったアニメーターと一緒にやってましたが、彼は僕の作品以外にも色々やるんですけども、ずっとやってたので心得ていて上手に動かしてくれるし」(古川)

hirotaku04.jpg画像:日本アニメーション協会公式サイトより

 古川は現在、日本アニメーション協会の会長であり、昨春まで10年間に渡り、東京工芸大学で教授も務めていた。岡山県真庭市の町並み保存地区・勝山での取り組みも、ゼミ生と共に行っていた。

「町の中心に多目的ホールがあって、そこで色んな展覧会とかやってて、外国の作家を呼んでレジデンスをやったりしてたのの一環で、遊びに行ったんですよ。それから『やりましょう』となって、学生たちに何かやってもらうのにちょうどいいなと思って始めたのかな。自分の展覧会をやって学生たちにプロジェクションマッピングをやらせたら、町の人たちが見に来てくれたんです。雨が降っても様子を見に来てくれたりして、そこは花火もやってるんですが、2年、3年たったら花火と同じくらいに楽しみにしてくれるようになりました。今は橋本(裕充)ゼミが受け継いでます」(古川)

リトルTの冒険 (福音館の単行本)

リトルTの冒険 (福音館の単行本)

古川さんは『みんなのうた』(NHK)とかでも活躍

「日本テレビジョンって、日本テレビじゃないですよ」 古川タクが草創期にリアルタイムで体験したイラストレーションやアニメーション業界事情のページです。おたぽるは、イベント情報・レポアニメの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!