モノブライト出口博之の特撮自由帳(4)

モノブライト出口博之の特撮自由帳(4)レオパルドン、チェンジロボ、シンケンオー……各年代を彩る特撮おもちゃをイジリ倒します!

 プロポーションに関してはキューブを積み上げた合体、合体時に展開するのが一番上(上半身)に位置するキューブイーグルのみなので、横から背後にかけてはロボット的なディティールが少なく可動部もないためポージングをつけることができません。しかし、合体の手順が3手という少なさは、スーパー戦隊ロボットの変革とも言えるほどの思い切った機構です。この理由は最初にジュウオウキングの完成型が作られ、そこから分解していく中で生まれたもの。これまでのロボットは組み上げて設計されているため、基本概念がビルドアップになります。分解していくことは要は引き算になるので、ジュウオウキングの思いもよらない合体機構が生まれた理由はここにあります。複雑なビルドアップではなく上に積み上げるというシンプルな構造、子供の手にも馴染みやすい積み木の発想の応用はジュウオウキングにおもちゃとしての堅牢さと安全性を与えており、小さな子供が力一杯遊んでもビクともしません。

 シリーズ40作にしてロボットの合体に新しい仕組みを組み込む背景は、長期シリーズの宿命である「マンネリ回避」がひとつの要因になっています。同じモチーフを持つ複数人のヒーローが変身しロボットに搭乗して戦う。この基本フォーマットを遵守しながらさまざまなスーパー戦隊が今日も誕生し戦い続けているのは世界的に見ても非常にレアケースで、これは日本のヒーローの歴史、日本のロボット作品の歴史、そして日本のおもちゃの歴史と言えるのです。

 スーパー戦隊シリーズのロボットにはおもちゃとしての面白さを軸に、劇中と同じ合体機構であること、2号ロボ、3号ロボとの合体変形の拡張性、中にスーツアクターが入ること、そして日本における合体ロボットの誇りが、昨今のアクションフィギュアと比べてずんぐりとしたボディに詰め込まれています。

 正直に言うと、ジュウオウキングを始めて目の当たりにしたとき「大丈夫かなこのロボット」という印象がありました。しかし、放送が始まると子供たちはジュウオウキングの合体、変形機構に夢中になっているのです。何か新しいものを目の当たりにしたとき、大人は自分の経験則からどうしても何かに置き換えたくなる心理が働き本質を見失いなうことがあります。ポージングができない、合体後足が開かない、そんなことはジュウオウキングには関係ないのです。スーパー戦隊ロボットを動かすもの、それは「見立て」なのです。イマジネーションを働かせれば、躍動感溢れるポージングも、劇中と同じ必殺技を繰り出すことができるのです。このイマジネーションがあるからこそ、次々に新しいロボットが私たちの前に現れ、新たなイマジネーションが創造されるのです。

1608_deguchi04_07.jpgとにかく楽しそうだったモノブライト出口

 いかがだったでしょうか?
 実際に目の前にロボットを並べてみると、時代考証や作品の背景を考えるよりも先に「これすごい!」「楽しい!」と子供のようにはしゃいでしまう場面もありました。貴重な当時の玩具を貸してくださり、詳細な解説を頂いた五十嵐浩司先生、ありがとうございました。
 今回は各年代から5体のロボットを選出しましたが、シリーズ全体を見るとまだまだほんの一部にすぎません。2号、3号ロボを含めると、その数は膨大な数にのぼります。いずれすべてのロボットをいち特撮ファン目線でレビューできたら、というのが私の当面の夢です。

■モノブライト公式サイト
http://www.monobright.jp/

■モノブライト セルフカバー『VerSus』をリリース!
発売日:2016年10月12日(水)リリース
価格:1,667円(税抜)
品番;ASCU-2007
レーベル:kiraku records.

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