「じょうじ」も驚く!?　めざましい進化を遂げる最新ゴキブリロボットが魅せる驚異の跳躍力！

• ツイート
• 

「Gizmag」より。

　馬術競技で、馬が高い障害物を飛び越えていくシーンはお見事というほかはないが、あの“ニクイ奴”がそんな跳躍力を持ってしまったら人類にとって大きな脅威になるだろう。

■1.6mの障害物を飛び越る“ゴキブリロボット”

　すばしっこく這い回り、どんなに狭い隙間にも入り込んで垂直の壁も易々とかけ上り、時には羽ばたいて宙を舞う……。まさに万能選手ともいえる“ニクイ奴”であるゴキブリだが、さらに大ジャンプという優れた身体能力が加わればまさに鬼に金棒だ。

　しかしご安心あれ。この大ジャンプ力を獲得したのは、ゴキブリはゴキブリでもゴキブリロボットである。先日、カリフォルニア大学バークレー校の研究チームが公開したゴキブリロボット「JumpRoACH」は、驚異の跳躍力を持った小型ロボットだ。

「JumpRoACH」は重さ60gほどのロボットだが、地面を這い回る6本の足とは別に、普段は折り畳んでいる長いひし形状の脚が装備されている。ロボットが高い障害物に直面した際にはこの長い脚の登場となる。ラジコンのスイッチをオンにすれば、長い脚がビヨ～ンと伸び、大ジャンプを見せるのだ。1.6mまでの障害物を飛び越えられるというから驚きだ。

　小型DCモーターを動力にして、バネのように伸びるこの脚の部分だけを単独で用いれば、なんと3メートルの高さまでジャンプが可能であるという。前進しながら跳ぶことで、障害物を越えて先のほうへと到達できるのだ。

　動画でも着地後にあおむけにひっくり返った状態になっているが、その場合でも背中の羽を開いて転がり、うつ伏せの状態に戻ることができるというスグレモノの機能を備えている。本物のゴキブリがこんなジャンプ力を持ったら、ますます厄介な存在になることは間違いないが、ゴキブリロボットのこのような“進化”は頼もしい限りではないだろうか。

■2台1組の“協力プレイ”で段差を越えるゴキブリロボット

　実はこのカリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、これまでもいくつかの“ゴキブリロボット”を作ってきたのだが、ここ最近は障害物を越えることをテーマにロボット作りのアイディアが練られていたようだ。以前にも、段差を越えることができるゴキブリ型ロボット「VelociRoACH」が作られている。

　6足歩行するロボットが2台1組で段差を越えることを目指して開発されたのが「VelociRoACH」。姿形はゴキブリなのだが、オーストラリアに生息するブルドッグアリが、互いに協力し合いながらさまざまな地形を克服して移動する様子を参考にしているという。

　まず先頭のロボットが激しく足を動かして細かく跳ねる動きを見せ、後ろの機体に当たったりすることでボディが傾き、あるタイミングでボディ前方が大きく起き上がって前足が段差の角を越える。すると後ろの機体が前のロボットを前方に押し込むと同時、機体の後部にウィンチの碇をマグネットで装着する。こうして前後のロボットが糸で繋がったのだ。後ろから押し上げられながら前の機体も再び6本の足を激しく動かすことで、段差を越えて這い上がることに成功する。

　前のロボットを完全に段差の上に押し上げ、その勢いで自らも前足が段差の角をとらえた後ろのロボットは、次にウィンチのリールを解放する。糸が繋がったまま前のロボットは全身を続け、足をガッチリと固定できる場所にくるとそこに留まって踏ん張る体勢をみせる。そこで後ろのロボットはウインチを巻き上げながら6本足を激しく動かして段差をのぼり、自らも完全に段差を乗り越えるのである。

　障害物を克服するという共通のテーマのもと、“協力プレイ”で段差を乗り越えた「VelociRoACH」だが、今回の「JumpRoACH」はそんなのカッタルイといわんばかりに、大ジャンプで障害物をひとっ跳びに出る作戦に出たということになるだろう。これはもちろん、周囲の状況によりけりで、どちらが優れているかという話ではない。さまざま“特技”を獲得して進化を続けるゴキブリロボット、次はいったいどんな形で我々を驚かせてくれるのか楽しみだ。
（文／仲田しんじ）

【参考】
・Gizmag
http://www.gizmag.com/cockroach-jumproach-jumping-robot/43583/