ありがとう『たまゆら』、フォーエバー『たまゆら』……6年間の展開に幕を閉じたアニメ『たまゆら』シリーズ完結記念・田坂秀将PDインタビュー!

■「楓たちの卒業まで、しっかり描こうと」

―― イベント、上映会を重ねながらOVAから『hitotose』、『もあぐれっしぶ』へ繋がっていきます。楓たちが2年生に進級し、かなえ先輩が登場して、「あ、楓たちは作中で年齢を重ねていくんだ」と少し驚いた記憶があります。

田坂 彼女たちの高校1年から3年、そして卒業までを描こうというのは、『hitotoseが始まる前には決めていました。『もあぐれっしぶ』は『hitotose』とは趣きが大分違いますから、どういう感じになっていくのかな、と我々も思っていましたが、(三谷)かなえ先輩とか夏目(望)さんなど、魅力的なキャラクターたちも出てきて良かったなと思います。

―― 夏目さんの存在は大きかったですよね。

田坂 あんなに活躍するキャラになるとは思いませんでした(笑)。

―― 『たまゆら~卒業写真~』の第3部でも登場しました。起承転結の「転」にあたるエピソードだったと思いますが、続きが気になる引きといい、夏目さんの活躍だったり、シリーズ全体を通してみても、すごく見どころの多いエピソードだったと思います。

田坂 そういっていただけるとうれしいです。

■竹原のおもてなしに応えたいと思うからこそ頑張れた

―― 竹原市と密な関係を築いたことも『たまゆら』の大きな特徴だったと思います。広島県・竹原市が舞台になったのには、どんな経緯や意図があったんでしょうか?

田坂 こんな街がどこかにあるといいなと、感じてもらえるようなファンタジー感やノスタルジックな雰囲気が欲しい、それには少し近くて遠い場所のほうがいいなと考えたんです。そこで佐藤監督から出ていた「単線が走っていて、海が近くてきれいで、生活の匂いがあるところ」という条件に合致するような街を探したんです。これが意外となかなかないんですよ。単線というだけでかなり絞られてくるし、海がきれいな街はたくさんあっても、日本海側だと穏やかな感じが出ない。そこで瀬戸内海に絞られてきたんです、古くら人が暮らす場所が多くて、生活感もある。そうして尾道や竹原市が候補となってきたのですが、尾道は有名すぎるだろうと(笑)。

―― たくさんの映画の舞台になっていますものね。

田坂 どうしてもそっちのイメージに引っ張られてしまうので、最終的に竹原市にさせていただいたという感じです。

―― スタッフさんは竹原には何度も行かれたと思いますが、印象深いエピソードはありますか?

田坂 これは佐藤監督も仰っていましたけど、竹原市の皆さんは、自分の街が好きなんですよ。自分の街が好きだからこそ、自分の街に興味を持つ人がいるとうれしくて、それがおもてなしの心に繋がっていく。そうやって出迎えてくれて、こちらもそれにお返しをしたいという気持ちになれたので、それがよい関係を作ってくれたのかなと思います。『たまゆら』を機に竹原を知って欲しいという気持ちがあって、訪れたファンをもてなしてくれるし、我々スタッフまでもを大事にしてくれるから、我々もその気持ちに何とか応えたいと頑張る――この6年間はその繰り返しでした。

―― 「ももねこ様祭」という独自のお祭りも、年に一回ペースでもう4回も開催されています。なかなかない現象ですよね。

田坂 「ももねこ様祭り」こそ、街とコミュニケーションをとっていく間に生まれたものです。「たまゆらの日2011」という『hitotose』放送時に開催したイベントにあわせて、ももねこ様像を作ったんです。イベント後に、さてこの像をどこに置くかとなり、町並み保存地区(※竹原市は古い町並みを残すため、国から「竹原市重要伝統的建造物群保存地区」が指定されている)にはさすがに置けない。そこへ、駅前商店街の理事長を務める今市さんが商店街に置いていいよと言ってくれて、管理してくださっているんです。『たまゆら』の作中で出てくるのは主に保存地区で、なかなか商店街には『たまゆら』ファンも足を運ばないので、一つ商店街にそういったスポットができて、結果的に良かったです。そこから更に「ももねこ様で何か遊べるといいよね」という機運が高まって、お祭りに繋がったわけです。

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