タイトルには「放課後」ってついてるけれど、1時間目が終わったあたりから始まってるじゃねーか。高田真一郎『放課後アサルト×ガールズ』は、そんな野暮なツッコミなど不要の面白さで魅せてくれる。
この作品、簡単にいえば「異世界もの」である。
ヒロイン綾子たちの前に、コンパクトと共に空間から突如出現した傷ついたキツネ。人間の言葉を話すそのキツネは「早く……やつらが……」とつぶやく。いい歳して魔法少女への憧れをまだ持っている綾子は、いよいよ魔法少女になれるのかと期待した。
だが、突如、人間=女のコ化したキツネは、なんの説明もないままに綾子たちクラスの女子40人を異世界に召喚したのである。
気がつけば、そこは見たこともない世界。
綾子たちは「作業着」もとい、第二次大戦中の米陸軍の軍装にM1ガーランドを手にしていた。そこに襲いかかってくるのは、同じく第二次大戦時のドイツ軍の軍装をしたゾンビであった。
というわけで、本作は女子高生40人が生き残るために必死で戦う、新手の『漂流教室』だ。世界観としては、謎のキツネ少女・サキは第五太陽の地球からやってきた軍人。サキの国は「イヨガミ」と呼ばれるゾンビみたいなのを使う国と戦っている……と、なんだかいろいろとあるようですが、作中にも設定にはあまり深くは言及せず。あくまで女子高生が米軍の軍装で戦うというのがメインである。
唯一重要な設定は、戦いの部隊は「中空の地球」と称せられる空間。命は3つまでというあたり。要はサバイバルゲームのごとく、フィールドとルールを決めて戦っているというわけである。
ひとつ萌えポイントとして、軍装だけど生足・スカートというのもポイント。しかし、作者の自制心なのか「パンツ丸見えだよ」「いいよ男子いないし」という会話があるだけで、パンツは描かれない。
ともあれ、こうして始まる戦いではちゃんと、ちゃんと自分の希望で突撃歩兵や工兵など兵科を選んで戦える。ここでも、それぞれの兵科の能力を勝手に身体が記憶しているだとか、身体能力に影響するだとか、とても都合のよい設定を遺憾なく発揮。なので、女子高生が銃を振り回して戦野を駆け巡っている姿が、まったく違和感なく楽しめるのである。
そんなご都合主義な設定満載なのに、決してキャッキャウフフにはならない。40名も一度に異世界に送られたわけだから、誰もが戦うことを決意することなんてできない。ゆえに、脱走という事件まで発生したり……。
さすがベテランである高田真一郎ゆえに、無駄なくミリタリー+少女という萌えを描いていく本作品。ミリオタ的なネタを女子高生がやると、なんで、こんなに楽しいんだろう。
(文=ピーラー・ホラ)
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