主人公はタイムリープするキムタク!? SMAP解散騒動を題材にした(であろう)小説登場!!

1602_tokikake.jpg『時をかけるアイドル』(廣島)より。

「今日は二〇一六年一月十八日です」

 これはSMAP・木村拓哉の言葉ではない。SENSE・須藤克哉の言葉だ。「いや、誰だよ」という人のため、キムタクよろしく少しばかりタイムリープ。

 2月3日、廣島氏なる人物が手がけた『時をかけるアイドル』という小説がAmazon・Kindle版で発売された。商品説明に「そう、ここは間違いなく二〇一六年だ。カメラの向こうに視聴者の姿を想像しようとするが、うまくいかない。すると急にカメラが恐ろしく思えてくる。だがここで怖じ気づいているわけにはいかない。仲間を守るために、俺にはやらなければならないことがある」とあるように、解散騒動に揺れ、突如生放送となった『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)でのキムタクをモチーフに書かれている。しかも、同番組の発言により、ささやかれた“タイムリーパー・キムタク”として…… 。

 以前にも一度紹介したが(前回記事)、“キムタク、タイムリープ説”は「(前述の)『SMAP×SMAP』生放送の際、キムタクの第一声が、西暦を含むその日の日付だった」「キムタクのみジャニーズ事務所残留派だった」「キムタクはすべてにおいて完璧だから」などの理由から誕生したトンデモ説。馬鹿げた説ではあるが、Twitterのトレンド入りを果たすなど、盛り上がりを見せ、最終的にはキムタク本人が、ラジオ番組で「何度もタイムスリップして、問題を解決しているというウワサが出ているそうで。正直、その能力は……ありません」と否定するほどに、大きな話題となった。

 その話題をインスパイアされた小説が『時をかけるアイドル』。完全に時代に便乗した上に、ファンのたくましい妄想をまるパクリするとは見上げた根性であり、ネットでも「馬鹿馬鹿しい」「どんだけ金稼ぎたいんだよ」「震えて眠るがいい」など、散々な言われよう。中には「小説売るための前振りだったわけですね」と、作者が“タイムリープ説”を流した張本人だと疑う者さえいる。ただ、「書くの早いな」という声のとおり、その行動力や早筆は評価できるし、何よりあまりの品のなさに、興味はちょっとあるけど、きっと誰も読まないだろうと踏み、代表して読んでみた。

 主人公はキムタ……ではなく、須藤克哉。現在、自身2本目の時代劇映画主演の役作りのため、少しばかりピリついている、SENSEというグループのメンバーだ。お気づきの人も多いと思うが、キムタクは映画『武士の一分』に続き、17年公開予定の映画『無限の住人』で主演を務めることが決定している。ほかにも、キムタクがタマホームなら須藤はマキホーム、「ちょ、待てよ」というセリフがあるなど、キムタク要素が随所に見られ、良く言えば抜け目がなく、悪く言えばあざとい。

 SENSEには、完全にキムタクな須藤以外のメンバーに、詠美正人(中居正広)、堀川吾朗(稲垣吾郎)、矢野田毅(草なぎ剛)、神宮公介(香取慎吾)がいるが、すべてSMAPそれぞれのメンバーの性格や仕事などが色濃く反映されている。吾朗と毅に関しては逮捕歴まである始末だ。また、脱退したメンバーの名は林。SMAP解散騒動にも大きく関わっていたとされる、元女性マネージャーの位置にあたる石田マネージャーが、須藤に「私が一度でも判断を間違えたことがある?」と問う場面では、須藤が「脱退1名、逮捕2名」との皮肉まで吐き捨てている。

 須藤は村作りや島開拓といった農業系の仕事が多い後輩グループ・TOKYOを侮蔑したり、アイドル誌『暁』の写真撮影でも、「駆け出しのアイドルが爽やかな笑顔を振りまくためにある雑誌」と笑わなかったりと、結構感じの悪い男。『時をかけるアイドル』は、その須藤がタイムリープできる能力を得たことで、少しずつ変わっていく物語となっている。

 読後の感想としては、まず読みやすい。出てくる人物がSMAPに当てはめられるため、想像もしやすいし、そもそもの解散報道を多少なりとも知っていれば物語も簡単に掴める。セリフも多く、隠喩をはじめとした、小難しい文章表現も一切ないので、小説が苦手な人でも読めてしまうだろう。ジャニーズファンの中で読書嫌いな人がいれば、チャレンジしてみてもいいかもしれない。NEWS・加藤シゲアキが小説を何本も書いているから、みな好きだと思うが……。

 また、2巻からは須藤がバンバン、タイムリープ。エンタメ色が濃くなる。誤りの原因であろう過去に飛び、改善を試みるも、詠美が自殺を図ったりゴミ屋敷みたいなマンションの一室でドラッグに溺れていたり、毅が解散騒動の情報を流してしまったり、相変わらず吾朗の仕事がなかったりと、何度試しても失敗してしまう。須藤も須藤で、硫酸ぶっかけられて失明したり、妻と子に逃げられたりと散々だ。映画、アニメ、小説……ごまんとあるタイムリープものだが、その手の作品が好きな人であれば楽しめそう。

 筆者はパロディを含め、何かに“あやかる”作品があまり好きではないため、「★★☆☆☆☆☆☆☆☆」この程度の評価にしておくが、1巻は0円、2巻も299円と安いので、試しに1巻を読んでみるのは悪くないかもしれない。1巻だけなら、早い人であれば20分程度で読み終えるのも魅力的だ。題材が題材なだけに、「気づいたらAmazonから消えてた」なんてこともなくはなさそうだし、購入を考えている人はお早めに。

たくさんの人が思いついただろうけど、馬鹿らしくてやらなかったことをやってのけたのは、それはそれですごいと思った。

時をかけるアイドル(1)

時をかけるアイドル(1)

次はハーフタレントの不倫騒動!?

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