【今月の不健全図書レビュー】男性器が無修正すぎてグロさ満載。2015年随一の家に置きたくない本!早見純『早見純カルト傑作選 性なる死想』

【今月の不健全図書レビュー】男性器が無修正すぎてグロさ満載。2015年随一の家に置きたくない本!早見純『早見純カルト傑作選 性なる死想』の画像1『早見純カルト傑作選 性なる死想』(早見純/久保書店)

――東京都をはじめ、地方自治体の「青少年・治安対策本部」では、毎月“不健全図書”を挙げ、自主規制団体らと共に審議を行っている。この審議結果は毎回公表されるものの、審査過程での自主規制団体の声が顧みられることはほぼない。エロにせよ何にせよ、どこか尖った作品を大の大人が色々な立場から評価するという、そんな貴重な意見が無視されるなんてもったいない! このコーナーでは、“不健全図書”に指定されたマンガなどを自主規制団体の声と共に紹介していきたい。つまり、クラウド・ファンディング(群衆による資金調達)ならぬ“不健全図書”クラウド・レビュー(群衆による批評)、はじまり、はじまり~!

【今月の指定図書】

 10月の不健全指定図書の目玉は、こちら早見純『早見純カルト傑作選 性なる死想』(久保書店)です。早見純は、80年代に多くの作品を発表したカルトマンガ家です。21世紀になって再評価されるようになり太田出版などからも過去の再録本が出ております。その作風は、エロじゃなくてグロ。女学生がグチャグチャになって殺されたりしまくります。こちらの本も帯のコメントが古屋兎丸(マンガ家)、会田誠(現代芸術家)、大森靖子(シンガーソングライター)というわけで、領域としてはカルトなサブカルというヤツでしょう。

 描き下ろしも含めた今回の傑作選。傑作選だから仕方ないんですけど、21世紀になってから発売された単行本とダブって収録されている作品も多数(久保書店は、ほかのマンガ家の単行本でも収録作のダブりが多々ある出版社です)。

 そんなマンガ家の作品が何故、いまさら不健全指定されてしまったのか。検証してみましょう。

(以下、別記のない限り、【】内は「自主規制団体からの聴き取り結果」より引用)

 収録されている作品は、とにかくグロの極みの早見ワールド。女学生が変態男にグッチャグチャにされたり、事故にあってグッチャグチャになったり……とにかく五体満足では死んでません。どんなエロマンガをレジに持っていくのも恥ずかしくないという人でも「こんなの買って大丈夫か」と自分の正気を疑い社会の視線に恐怖するでしょう。

 でも、指定にあたってまず問題になっているのはグロではありません。【性器描写の修整が全くされていない】【「カルト傑作選」とあり、この分野は特殊なため、判断に迷うところもあるが、性器描写はほぼ無修整】【性器描写が修整されないままの所がある】と、性器の描写についての指摘が多数見られるのです。しかも、この単行本、性器の描写がテキトーなのは男性器のほうです。やたらと濃いペンタッチでリアルに描かれているにもかかわらず、まったく修正が入っていません。指定該当と主張する皆さんは【残虐性が強い】という点も指摘はしているのですが、同時にグロすぎる男性器の描写にギョっとなったのは間違いないでしょう。

 もちろん、早見作品は単なるグログロのオンパレードではありません。なんだかよくわからない哲学的描写も作品の持ち味です。でも、初見の人はそんなことに気づくでしょうか。保留とする意見の中に見られた【カルト漫画で、定価も高く、マニアックな本であり、青少年が買うとは思えないが、絵柄が気持ち悪く、読む気にならない】という発言。これは、もっとも蓋然性のあるものといえるでしょう。指定非該当とする【猟奇的なシーンが多く、一部に露骨な性器描写もあるが、卑わいな感情を想起させる作品ではなく、作者にもその意図はないように思われ、これで青少年の性的感情が刺激されるとは思えない】は、このグロさにはちょい無理筋です。また、同じく指定非該当とする【性と死という普遍的な哲学テーマを観念的かつ身体的に描写し、問いかけるといった、サブカルチャー漫画に一定数ある、マニアックだがオーソドックスな手法の作品】とする意見からは「サブカル(笑)」という心の声が聞こえてきます。

 いずれにしても、気になるのは性器の消しをまったくやらなかった久保書店の編集部です。久保書店は終戦間もなく創刊されたエロ雑誌『あまとりあ』、そしてオタク向けエロマンガの先駆的雑誌『レモンピープル』の版元・あまとりあ社と一体の出版社です。つまり、どういうことをやらかせば権力から怒られるかを経験的に熟知している会社なんですよね。それなのに性器を修正しない。そこからは「どうせ部数も少ないし不健全指定されたらむしろ売り文句になりそう」とか「こんなんで、警察はワイセツでやってこないよ」という緻密な計算が働いているような気がします。

 この本を読んで「おお、興奮する!」とかいう中高生がいたら確実に厨二病です。適切な治療が必要なのは確かでしょう。
(文=昼間たかし

今月の自主規制団体の声
【出典】東京都青少年健全育成審議会「自主規制団体からの聴き取り結果」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/09_singi/664/664siryou2.pdf

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