人間が不安や孤独を感じるのはなぜ？　ももクロが永遠の命題に体当たりで挑む！　『幕が上がる』特典ディスクレビュー

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　劇中劇「銀河鉄道の夜」の中で、カンパネルラ役の中西さんは実感を込めて語る。「宇宙はどんどん広がっていく。だから、僕らはどこまで行っても宇宙の端まで辿り着けない。宇宙が広がっていくように、僕らは離ればなれになってしまう」と。さおりが現国の授業で滝田先生（志賀廣太郎）から教わった谷川俊太郎の詩「二十億光年の孤独」からインスパイアされた台詞だ。人がどんなに目標に向かって頑張って走っても、宇宙自体が光速のスピードで膨張しているので、いつまで経っても目標に辿り着くことができない。生きている人間が感じるどうしようもない不安感や苛立ちの理由が舞台上で解き明かされていく。そして、舞台のクライマックス。ユッコ演じるジョバンニは、親友カンパネルラとの永遠の別れを経験して、ある結論に達する。「人間は生まれたときから、いつもひとりだ。でもひとりでも、宇宙から見れば、みんな一緒だ。みんな一緒、でも……みんなひとりだ」。

　フルバージョンの「銀河鉄道の夜」を観た後、もう一度『幕が上がる』を最初から見直す。物語の後半、さおり、ユッコ、ガルル、中西さん、明美ちゃんの5人が稽古を終えて、教室の窓から夜空を眺めるシーンがより鮮明に感じられる。ひとりぼっちだけど、決して孤独ではない。ひとりぼっちだからこそ、みんなと繋がることができる。そのことを舞台の稽古を重ねて知った5人の女の子たちの表情は自信に溢れ、キラキラと輝いている。カメラはパーンして星空を映し出すことはせず、そのまま5人が肩を寄せ合った姿を捉える。5人の女の子たちの個性がひとつに繋がった、名もなき美しい星座が誕生した瞬間だった。
（文＝長野辰次）

『幕が上がる』
原作／平田オリザ　脚本／喜安浩平　監督／本広克行　
出演／百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果、佐々木彩夏、黒木華、ムロツヨシ、天龍源一郎、志賀廣太郎ほか
豪華版（Blu-ray）　 6,800円+税、通常版（Blu-ray）　4,800円+税、（DVD）　3,800円+税　好評リリース中　※豪華版（Blu-ray）には本編ディスク（予告編、特報、テレビCM、オーディオコメンタリー）のほか、ボーナスディスク（劇中劇・ロミオとジュリエット、肖像画、銀河鉄道の夜、イベント集、公開記念メイキング番組・「幕が上がる」のここが熱い！、公開記念特別番組・ももいろ演出論）、フォトブック、富士ヶ丘高校 校章ワッペン、ポストカード5枚セットを同封。
発売元／フジテレビジョン　販売元／東映株式会社、東映ビデオ株式会社
（C）2015平田オリザ・講談社／フジテレビジョン　東映　ROBOT　電通　講談社　パルコ

 
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