リアルじゃないけど、ほっこりしちゃうマンガ『絶望男子と中国娘』

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『絶望男子と中国娘』第1巻（秋田書店）

　理央氏が手がけるマンガ『絶望男子と中国娘』（秋田書店）は、pixivなどで発表されたマンガ『コミュ障男子と中国娘』の商業誌版です。現在も引き続き、ウェブコミックの「Champion タップ！」にて連載されています。

　この作品は、コミュ障すぎて不登校、Twitterとネットゲームくらいしかやらない毎日を過ごす主人公・根子太郎と、中国娘・閻龍龍の日々を描く四コマです。

　友達以上恋人未満といいつつ、次第に距離が近づいてくる恋愛模様を、四コマで描きます。不登校でひきこもりという、どうしようもない主人公なのに、ページを追うごとに幸せになっていきます。そして、なによりヒロイン・龍龍のキャラにびっくり。上海出身の中国娘ですが、とにかく純朴ないい娘。お寿司を食べたらワサビで泣いちゃう。デート中にUFOキャチャーで、ネコのぬいぐるみを取ってもらったら「タロさんの名前をつけていいですか？」だなんて。……なんて純朴な田舎娘なのでしょう！　って……そんなことあるかいな！　上海は中国でトップクラスの大都会。「魔都」とも称された街で、こんな純朴な娘がいるとは思えません。なにより、中国娘の魅力は、物事のYES・NOをハッキリと言う強気なところだと、個人的には思うのですが……。

　ただ、このあたりを「リアルじゃなーいっ！」と指摘するのは野暮ってもの。だって、本作はひたすらほのぼのしていて、幸せな気分で読むことができるのですから。

　DVDをレンタルして、お部屋デートをしたら、映画の場面が変わるごとに全身でワクワクして、泣いて、感動してくれる女の子なんて、どう思いますか？　妄想の中だけの存在とはいえ、やっぱり、そんな女の子と付き合うことができたらと思うとワクワクします。水族館デートで「ワタシ払イマスネ」と、財布を出すことに躊躇しなかったり、夏が来て薄着になったり……作者の意図通り、あざとすぎる龍龍の萌えシーンにハマってしまいました！

　それにしても、この単行本が『ブラックジャック』とか『本気!』とかと同じ「少年チャンピオンコミックス」のレーベルだなんて……。なんだかとっても時代を感じますね。
（文／大居 候）