今、グーグルの人工知能はゲームに夢中らしい――。開発中の人工知能はまるで初めてゲーム機を買ってもらった子供のようにゲームに熱中して、次々と攻略しているというのだ。
■AIが80年代のレトロゲームを次々攻略
昨年、グーグルが人工知能(以下、AI)を開発する英・IT企業ディープマインド・テクノロジーズ社(以下、ディープマインド)を、推定4億ドル(約478億円)という巨額の資金で買収したことは記憶に新しい。そして、現在グーグル傘下となったディープマインドで開発中のAIが、80年代のビデオゲームを人の助けを借りずに次々とクリアしているという。
先頃、グーグルはその様子を2つのGIFイメージで公開した。映像には80年代の人気ビデオゲーム「ブロック崩し」を、AIが最初にプレイしたときの模様と、数百回プレイを繰り返した後の模様が収められていたのだ。この2つを比較するとプレイヤーの巧拙が一目瞭然だが、プレイしているのは同一のAIである。つまり、AIが独学でゲームを攻略し、技量を向上させているのである。このAIに対して、人間はゲームのルール以外の情報は何も与えていないということだ。
グーグルによれば、AIはこの『ブロック崩し』のほかにも、『ビデオピンボール』など、80年代のアタリのゲーム機「Atari 2600」でプレイできる49種類のゲームを攻略したということだ。その中の29のゲームについては、なんと人間の“名人”を上回る成績を収めている。
AIにビデオゲームを攻略させることにより、最先端のAIが複雑な問題に対処できることを世にアピールする狙いもあるようだ。これは当然、現在グーグルが鋭意開発を進めている自動車の自動運転技術にも関わってくるものだろう。
このAIを開発したディープマインドの共同設立者で現在グーグルでバイスプレジデント(vice president of engineering)に就くデミス・ハザビス氏は、AIにもう少し複雑な90年代のゲームにも早く挑戦してもらいたいと考えているという。
「もしレースゲームができるようになれば、ちょっと修正を加えばすぐにでも実際の車が運転できるということになりますね」と、「Bloomberg」の取材に応えている。自動運転車「グーグルカー」が路上に溢れる未来はもう目と鼻の先、ということなのだろうか。
■知識を吸収し問題解決能力を自ら高めるAI
チェスの世界では人間がコンピュータに太刀打ちできなくなって久しいが、昨今は将棋の世界でも「電王戦」などでプロ棋士とコンピュータが熱戦を繰り広げていることはご存知の通りだ。そしてコンピュータが着実にプロ棋士の牙城を崩しつつあるように感じるのは、筆者だけではないだろう。
将棋でも人間を凌駕しつつあるコンピュータ。しかし、あくまでもこれらの将棋ソフトはアルゴリズムであって、基本的に設計目的以外のことは何もできず、自ら技量を向上させることもできない。2005年に登場した画期的将棋ソフトの『Bonanza』は機械学習ができるといわれているが、自動生成したパラメータの最終的な価値判断は人間が行なっているということだ。
これらのチェスや将棋のソフトとは違い、まるで子供が成長するように知識を吸収し、問題に対処する能力を独学で高めていくというこのAIは、果たしてどこまで賢くなっていくのか? AIの能力がこのまま向上を続けていけば自動車の運転はもちろん、どこかの時点で現実世界の問題を決策する作業も一部で担うことになるだろう。コンピュータにゲームで負けているうちはまだ可愛いもので、そのうち人間の仕事も奪われてしまう日が来るのではないか……。AIには一朝一夕では書けそうもない原稿を寄稿すべく、今後も精進する次第である(汗)。
(文/仲田しんじ)
【参考】
・「Polygon」
http://www.polygon.com/2015/2/25/8111657/watch-googles-smart-ai-figure-out-how-to-beat-this-video-game-all-on
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