特撮冬の時代の開拓者だった!? マーベル本家にも登場して話題に! 東映版『スパイダーマン』を振り返る

1501_spiderman.jpgMarvel公式HP内Spider-Manのページより。

 巷ではアメコミ「Amazing Spider-Man」Vol.3の12号に、1978年にテレビ放送された東映版スパイダーマンとその愛機巨大ロボ・レオパルドンが登場したことで、妙な盛り上がりを見せている。これは、スパイダーマンシリーズに登場した、あらゆるスパイダーマンが一堂に会する一大クロスオーバー『Spider-Verse』劇中で起こったことだ。本稿では、話題となっている『Spider-Verse』と共に、東映版スパイダーマンと当時の特撮をめぐる状況を、私心を交えて概観していく。

■さまざまなスパイダーマンが共演!? スパイダーマンに何が起こったのか?

 マーベルコミックスの作品世界はマルチバースという並行世界で形成されている(スーパーマンを発行するDCコミックスも同様)。現在、物語が展開しているメインバースはEarth-616と呼ばれる世界で、「Amazing Spider-Man」もここに存在している。それぞれの世界にはそれぞれのスパイダーマン(≒ピーター・パーカー)がなんらかの形で存在している。いくつも枝分かれした世界(Earth-XX)に、さまざまなスパイダーマンが居て、東映版スパイダーマンの世界も並行世界の中に含まれている。逆に言ってしまえば、Earthを横断する「Spider-Verse」はなんでもアリの世界設定なのだ!

 スパイダーマンたちの敵は、コズミックビーイングであるモランとその眷属であるインヘリターズ。モランたちは生命を永らえさせるために、定期的に神々の生命を食す必要があり、今回白羽の矢が立ったのは蜘蛛の神と、その化身である、あらゆる世界のスパイダーマンたちだった。ただで食べられるわけにはいかないと、協力し合ってモランに対抗するのだが、コズミックな生命体であるモランとその眷属はむちゃくちゃ強すぎて、スパイダーマンたちは非常に不利な状況に置かれているのだ。避難場所Earth-013のセントラルパークで襲撃を受けた際に、みんなを救ったのが、日本からやってきたスパイダーマンたちだった!

 レオパルドンは、モラン配下のソラスと対決。ソラスのエネルギー攻撃を全て受けたために、左腕を切断されてしまう。しかし、レオパルドンの活躍でスパイダーマンをほかの世界へ逃がすことに成功する。コズミックビーイングであるインヘリターズを相手に腕一本で済むという東映版スパイダーマンの強さは、居並ぶスパイダーマンの中でも破格の扱いである。

 実は日本からの助っ人はレオパルドンとスパイダーマンだけでなく、「コミックボンボン」(講談社)で連載していた『スパイダーマンJ』と、もうひとりMarvel Mangaverse Spider-Manも登場する。東映版スパイダーマンはEarth-51778のスパイダーマンで、もちろん名前は山城拓也だ。

■東映版『スパイダーマン』は、特撮黄昏時代に生まれたヒーローだった?

 東映版のスパイダーマンは、元々マーベルコミックスと東映の間に結ばれた契約で、「お互いの作品を5年間は自由に使って、作品を作っていい」というかなり面白い試みから、78年に生まれた特撮ヒーローなのだ。この契約で東映からは『スパイダーマン』と『バトルフィーバーJ』が生まれ、マーベルコミックスは勇者ライディーン、ダンガードA、コン・バトラーVの3体のロボットが活躍する『Shogun Warriors』(ファンタスティック・フォーとも共演! というか、後半は主役の座を奪われているが)のコミックスが誕生したのだ。

 東映版『スパイダーマン』の少し前、74年には、第2次怪獣ブームを牽引してきた「ウルトラシリーズ」が『ウルトラマンレオ』を最後に終了。同じく人気の中心だった「仮面ライダーシリーズ」も、翌75年の『仮面ライダーストロンガー』で終焉を迎えた。大きな柱を失った特撮作品は、77年の『宇宙戦艦ヤマト』再放送をきっかけとする第2次アニメブームの到来もあって、徐々に減少していくことになる。

 そんな特撮作品の黄昏時代に生まれたのが、東映版『スパイダーマン』だった。

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