特撮冬の時代の開拓者だった!? マーベル本家にも登場して話題に! 東映版『スパイダーマン』を振り返る

 ちょうど『スター・ウォーズ』エピソード4が日本でも公開された頃(78年)のことで、『スター・ウォーズ』に影響されたスペースオペラ的作品が生み出される少し前に、当時東京12チャンネルと呼ばれたテレビ東京で放送は始まった。78年という年はかなり微妙な時期で、その前には脱・巨大ヒーローを図る円谷プロの『恐竜探検隊ボーンフリー』や、変身ヒーローの集団化に拍車をかけた『秘密戦隊ゴレンジャー』などの話題作や人気作が登場しながら、シリーズ化するほどのヒット作にはならなかった(ちなみに、筆者は当時ハードSFにかぶれていた)。そして、81年には本格的に特撮作品がヤバイと実感することとなる。同年に制作された特撮作品が、東映製作の『電子戦隊デンジマン』からの『太陽戦隊サンバルカン』と『ロボット8ちゃん』の3作品(実質2作品)だけとなったからだ。その後、『仮面ライダー(新)』と『仮面ライダースーパー1』、『ウルトラマン80』(話はさておき、特撮がすごい!)で盛り返すかに見えた特撮だが、やはり主流はアニメーション! 特撮ブームを再燃させる起爆剤にはならなかった。

 東映版『スパイダーマン』の物語を簡単に説明すると、以下の通り。主人公の山城拓也は父の研究を悪用しようとする鉄十字団のモンスター教授によって殺されてしまう。洞窟に落下した拓也を蘇らせたのはスパイダー星の王様・ガリアだった。ガリアは母星を滅ぼしたモンスター教授への復讐を拓也に託して死んでいく。拓也はスパイダーエキスを注入されたことにより、スパイダーマンとなって父とガリアの復讐のために鉄十字団に戦いを挑んでいく。

 山城拓也=スパイダーマンはブレスレットによる変身、敵と対峙した際の名乗りポーズ&決め台詞、レオパルドンといった可変巨大ロボを所有する。そう、彼こそが現在のスーパー戦隊やメタルヒーロー路線で実践されたスタイルの先駆者であった。つまり、東映版『スパイダーマン』とは、特撮冬の時代を支えながら、新たなスタイルを開拓する者でもあったのである。

 なかでも敵と対峙した際の決めポーズを繰り返し見せる演出は、後の宇宙刑事シリーズの決めポーズにつながる。決め台詞は「地獄からの使者 スパイダーマン!」「鉄十字キラー スパイダーマン!」を基本形に、13話「親の愛に泣く男 スパイダーマン」16話「犬笛にむせび泣く男 スパイダーマン!」など、物語の内容に即した決め台詞に変化していった。

『Spider-Verse』で、ピーター・パーカーに招聘されて出現した際に発した決め台詞は

「I AM EMISSARY OF HELL! AND I SHALL FIGHT THIS GREAT EVIL FOR THE FATE OF ALL SPIDERS!」

決め台詞風に訳すと

「全てのスパイディの運命のため、巨悪と戦う男 地獄よりの使者 スパイダーマン!」

 という感じで、決めポーズと共に出現するのだ。東映版では全戦全勝無敵の秒殺ロボットだったレオパルドンだったが、今回初の黒星というのも必見。

 ちなみにマーベル公式ページで「Spider-Verse」の脚本を担当するダン・スロットが、東映版スパイダーマンのマーベル・ユニバース参戦についてインタビューに答えている外部参照。これによるとダン・スロットは東映版スパイダーマンにとても思い入れがあることがわかる。幼少期にダビングで劣化した東映版スパイダーマンを観て衝撃を受けたことや、レオパルドンこそ戦隊やパワーレンジャーのロボットのルーツ、彼が最初なんだ! と熱く語っている。ダン・スロットが東映版でオススメする第7話「恐ろしきヒット曲!歌って踊る殺人ロック」ほか東映版スパイダーマンは、マーベル公式ページで無料配信中! この機会に東映版スパイダーマンをぜひ見ておこう!

「Spider-Verse」では現在登場14名のスパイダーマンがインヘリターズの餌食となっている。しかし、日本チームは全員健在。今後活躍するのかしないのか、そのあたりも合わせて「Spider-Verse」の今後に注目だ!
(文/加藤千高)

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