『ウルトラセブン』にも影響を与えた!! 新生・国際救助隊『サンダーバード』いよいよ本国イギリスで今春スタート!

1501_thunderbird.jpgITVのthunderbirds.comより。

 あまりにも有名なSF特撮人形劇『サンダーバード』。放送開始50周年を迎える2015年に新作テレビシリーズがスタートする! そんな記事がネットを駆け巡ったのが、2年前の2013年のこと。はてさて『サンダーバード』の新作は現在どうなっているのか? 最新作の情報と、1960年代に生まれた『サンダーバード』はどのような作品であったのか紹介していこう!

 簡単に言ってしまえば、『サンダーバード』は秘密組織・国際救助隊の活躍を描く1時間枠の特撮人形劇である。

 天変地異や人災から人々を救うことを目的に、大富豪ジェフ・トレイシーが組織した国際救助隊の物語で、国際救助隊は最新科学の粋を集めたスーパーマシン・サンダーバードを所有。指令機であるサンダーバード1号、救助用機器運搬を目的とした輸送機2号、大気圏外での救助活動を目的とした3号、水中救助用の4号、情報収集を目的とした宇宙ステーションの5号の5台のメカニックを駆使して救助活動を展開する。洗練されたサンダーバードのデザインが素晴らしいのは当然だが、『サンダーバード』の最たる魅力は、サンダーバード各機の発進シーンにある。

 事故や災害が発生し、そこへ指令機である1号が現状視察を兼ねて先行し、状況を把握した後に救助装備を搭載した2号が現場へと向かう。水中作業が必要な場合は2号が4号を搬送。事故現場が大気圏外である場合は3号が向かう。ジェフの息子たちがサンダーバード各機を操縦して救助活動に当たる。この発進シーンは、ドラマの流れを分断しようがお構いなしに、1時間枠ということもあってか執拗に描写されるのである。

 1号は意味もなくサイロを斜めに降下して、発進施設に移動。施設は秘密基地であるトレーシー島の住居のプールの下。プールがスライドするとそこには発進施設があり、ここから1号は大空へと垂直上昇、水平飛行に移行する。水平飛行移行時にはコクピットも水平位置に移動する描写まで行われる。2号も次男が秘密の通路を通って、そのまま2号のコクピットへ移動。救助装備を搭載したコンテナを格納すると、リビング真下の発進施設から島内の道路を移動して発射台へ。そこに流れるバリー・グレイのマーチ風のBGMがさらに高揚感を増すという!

 とまあ、こんな調子でじっくりと発進シーンを見せていくのである。『サンダーバード』をプロデュースしたジェリー・アンダーソンの一連の作品を見ると、発進シーンへのこだわりがあったようだ。同じく特撮人形劇の『宇宙船XL-5』『海底大戦争スティングレイ』でも、本作ほどではないものの、発進シーンは丁寧に描かれている。

 本作が日本で初めて公開されたのは1966年。NHKが1時間番組として放送したのが最初だ。こんな話をして「おお、懐かしい」と感じるのは、もはや60代から40代というおじいちゃん(まれにおばあちゃん)、もしくはもうすぐおじいちゃん世代だろう。子供は鉄道機械や働く自動車がなぜか大好きだが、操車場で機関車の方向転換をするためだけの転車台のように、その目的に特化したストイックな機能とかに魅せられるのであろう。子供心には『サンダーバード』のどんな災害や事故があったかは忘れても、この発進シーンとさまざまな救助メカは強烈に記憶にこびりついているのである。事実、筆者がそうである。

 発進シーンの魅力は恐ろしいもので、放送された翌年に始まった『ウルトラセブン』のウルトラ警備隊のウルトラホーク各機の発進シーンなんて、本作の影響をダイレクトに受けているとしか思えない。まあ、『ウルトラセブン』の企画書にも、『サンダーバード』みたいに発進シーンたっぷりみせますと謳われている。以降、ウルトラシリーズでも警備隊の発進シーンは無くてはならないものになっていく。本作の影響はほかにも、日本テレビ音楽主導で生まれた『ス―パーロボットレッドバロン』以降のバロン三部作でも色濃く出ているし、アニメでは『マジンガーZ』などのマジンガーシリーズの発進シーン(プ―ルから発進!)にも顕著だ。

 スーパーロボットアニメもしかり、『機動戦士ガンダム』以降のリアルロボット路線でも、発進シーンは非常に大事に作られている。『新世紀エヴァンゲリオン』などの庵野秀明作品では発進シーンなどの特撮作品へのオマージュが多いのは、みなさんもご存知だろう。使徒襲来とともに第3新東京市のビル群が地下シェルターへ格納されていくシーンは、本作ではないが『海底大戦争スティングレイ』のWASPのマリンビル基地が、地下シェルターに格納されるシーンのオマージュとなっている。

 また、スーパーロボットには付き物だったドリルに関しても、そのルーツはサンダーバードの救助メカ「ジェット・モグラ」なのではないかと筆者は踏んでいるが、これはまた別の話だ。

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