これが富野監督流の“萌え”なのか!? 繊細なキャラ描写に、物語も大きく動き始めた『ガンダム Gのレコンギスタ』

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『ガンダム Gのレコンギスタ
第8話「父と母とマスクと」

【今週の極私的見どころ!】
 今週の見どころは、なんと言ってもアイーダ姫(CV:嶋村侑)のかわいすぎるドジッ娘ぶりです。やることなすこと、てんでダメダメな姫が最後に「テヘペロ」と愛嬌ふりまく姿に、富野監督の“萌え”への挑戦が見て取れるようです。そして、ついに明らかになる地球外の脅威の存在。序盤戦のクライマックスともいえる、見所満載、情報量も満載の第8話です。

【今週のおすすめ度】
★★★★★
(前回のあらすじはこちら

 アメリアの可変大型MA・アーマーザガンの乱入で終わった前回から引き続き、海賊部隊とキャピタルアーミーのマスク部隊の乱戦で始まった今回。冒頭から画面狭しと両軍のメカが乱舞します。それにしてもよく動くなあ~! ロボットのカッコよさと性能アピールを両立する、テンポの良さと安定のカット割りで視聴者を飽きさせることはまったくありません。

 物語に目を向けると、アメリア軍の総監が前線に姿を現し、アイーダも「お父様」と発言。海賊部隊=アメリア軍はもう確定ですね。そんなアメリア軍が運んできたのは、G-セルフ用の新型パック・トリッキーパックです。曲線を多用した異様なフォルムは、ほかのパックとはまったく異なる印相を与えます。その性能はというと、Iフィールドによるビーム攻撃に対する高い防御能力と電子機器にダメージを与えるかく乱攻撃が可能になる、その名の通り“トリッキー”なもの。しかし、それゆえにベルリ君(CV:石井マーク)も今ひとつ性能を発揮しきれない様子。マスク先輩(CV:佐藤拓也)操るエルフ・ブルックと一進一退の攻防を繰り広げます。ところが、軍配はベルリに上がります。電子攻撃を受け機体が操縦不能になったことでマスクは撤退します。

 さてさて、我らがヒロイン・アイーダ姫様は、最愛のお父様が見ているということでいつも以上にハッスルするのですが、どう見ても戦況を引っ掻き回しているだけ。ついにベルリからも「邪魔をして!」と押しのけられる始末。以前より、大した戦果を上げることなく戦場では空気と化すことの多いアイーダに対して、ネット上では「ポンコツ姫」と揶揄するコメントが散見しましたが、もはや言い逃れの出来ない状況になってきました。挙句、「キャピタルタワーのほうからアンノウンがやってくる!」と息巻いて、搭乗するG-アルケインの高度を上昇させますが、なぜか目標よりもはるか上空に上がってしまい操縦不能に。このままでは宇宙空間に上がって戻ってこれなくなる! と、一人で勝手にピンチ状態に。

 結局G-セルフに救助されますが、その時の言い訳が「アンノウンのほかにも敵がいないか確認するため」。もちろん嘘です。自分の操縦ミスで高高度に上昇してしまったわけですが、それを言うのが恥ずかしいのか、しれっと発言し、「嘘をついちゃった」とテヘペロするアイーダ姫様。なんかもうここまでくるとポンコツ姫が愛おしくなってくるから不思議です。ネット上でも、「何一つ活躍せずにアタフタしてただけの姫がアホかわいくなってきた」と好意的なコメントが出現。これが富野流の“萌え”なんでしょうか。だとしたら、かなり高度な演出と言わざるを得ません! キャラの仕草やルックスといったわかりやすい記号で萌えさせるのではなく、じっくりとエピソードを積み重ね、人間性を描くことで萌えを描き出す。……御年73歳にして、これをやってのける富野由悠季、恐るべし!

 キャピタルタワーからやってきたアンノウンとは、前回大気圏突入シャトルで脱走したベルリの母親にして、キャピタルタワー運行長官のウィルミット(CV:田中敦子)です。彼女は海賊に囚われた息子のことが心配で、戦艦メガファウナに合流したのです。感動の再会を終えたウィルミットは、スルガン総督(CV:木下浩之)と会談。一瞬で母親から大人の表情に変わるあたり、さすが“デキる大人”という感じです。

 そこで明かされたのは、視聴者も気になっていたさまざまな情報です。まず、メガファウナはタブーとなっている「宇宙世紀の技術」を使って作られ、表向きは破棄されたことになっている宇宙船・ニックスペースを改装したものになっているということ。そして海賊部隊は、アメリア軍の持つタブー技術を検証するための実験部隊であること(そのために、表向きは無関係ということになっている)。そのデータをもとに、アメリア軍宇宙艦隊が整備されているということ。なぜ宇宙艦隊の建造を進めるかというと、月面に謎の建造物が出現。それを「宇宙からの脅威」と認識し、やがて始まるであろう宇宙戦争に備えるため。キャピタルテリトリィを支配するスコード教は、月面の「カシイバミコシ」という存在からフォトン・バッテリーを供給してもらい、それを世界に配分することで大きな勢力を持つに至ったこと。

 このように現在、地球を再生させるべくタブーを設定し人々を統率するスコード教=キャピタルテリトリィですが、キャピタルアーミーの宇宙船はタブーを破り技術開発を進めるゴンドワンから横流しされたもの、など続々とリギルド・センチュリーの地球を取り巻く状況と謎が明かされています。

 ここで衝撃を隠せないのが、ウィルミットです。月からくるエネルギーは神からの贈り物と認識するスコード教において、月は絶対の存在。そんな月にいる勢力がタブーを破り軍備を増強、地球に攻めてくるなどあり得ない、とおののきつつ、ベルリたちを連れてキャピタルテリトリィへと戻ることを決めます。これまでの価値観を否定されたウィルミットは、そして一度となく母国の軍と戦闘を交わしてしまったベルリたちは、無事に故郷に帰れるのでしょうか。

 マスク先輩のことも忘れてはいけません。自軍に戻るまでに部下を半数も失い、味方からも「クンタラだから」という理由で蔑まれるマスクは、怒りをあらわにします。それを見たマニィ(CV:高垣彩陽/髪の毛をバッサリと切って、軍人見習いになっていました!)は、彼をボーイフレンドのルインだと認識。しかし、「この敗戦の恥は、マスク大尉として晴らさねばならない。今はそれを遂げさせてくれ」と語る彼に、マニィは「応援します、マスク大尉」と敬礼をするのです。虐げられる者たちの戦いからも目が離せません。

 長い序章が終わり、ついに物語が大きく動き始めた感のある第8話でした。今後、ベルリたちは故郷に戻るのでしょうか。これまで秘匿されていた世界の真実を知った彼らは、故郷で生きることができるのか。それとも……? ますます目が離せなくなってきた『ガンダム Gのレコンギスタ』です。

 ちなみに次回予告の決めゼリフは、「見なけりゃ人生暗いぞ!」でした。明るく生きたいので、次回も見ます!
(文/受動 明日)

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