海外で“妹萌え”は危険? ドイツ近親婚騒動が浮き彫りにしたインセスト・タブーの違い

1410_incest.jpgみだらな女(富士見書房/現・KADOKAWA)

 先日、複数のメディアで「ドイツで近親婚をめぐる動き」というニュースが報じられ、話題をさらった。

 このニュースの発端となったのは、2012年に発覚した、ドイツで兄と妹が結婚し4人の子供をもうけたことで逮捕、有罪判決を受けた事件。この事件は、有罪判決の後にフランスに本部を置く欧州人権裁判所に不服申し立ても行われたが、判決は覆らなかった。

 これに対して、ドイツ政府の諮問機関である倫理委員会は、刑法が「自発的な市民の性交渉を制限するものではない」として、双方同意の上でのきょうだい間の性交渉や結婚に対する刑罰の廃止についての勧告を発表した、というのが今回の顛末である。

 この騒動が注目を集めた理由のひとつは、ヨーロッパの一部の国では近親婚・近親相姦が犯罪となっているということだ。実のところ、欧米の多くの国では近親相姦の当事者は性犯罪者と見なされるのが一般的だ。また、アメリカの多くの州のように“四親等のいとこまで”とより広い範囲を“近親相姦”とする国もある。

 日本では、民法で三親等以内の結婚を禁止している程度であって、近親相姦を犯罪とはしていない。

 なるほど、こうした道徳の概念には大きな違いがあるのだから、日本のようにエロ媒体でさまざまな近親相姦描写が行われているのは、海外の人にとって理解しにくいのではなかろうか。日本では、リアルは別として、フィクションの世界で近親相姦描写は「これはこういうもの」として実用的な娯楽に使われることもある。しかし、多くの国で「近親相姦はシャレではすまない」というわけである。

 しかし、だからといって、それらの国が近親相姦を絡めたエロ消費をまったく行っていないかといえば、そんなことはない。翻訳ソフトを片手に各国のエロサイトを巡回すれば、日本と変わらず“妹シチュ“とか“姉もの”、“母子もの”などを容易に見つけることができる。

 また、かつて富士見書房が発行していた海外官能古典の翻訳レーベル「富士見ロマン文庫」にも、多数の近親相姦描写を見つけることができる。この文庫は、19世紀末期の古典的官能文学も翻訳しており、ヴィクトリア朝期に書かれたとされる作者不詳の作品『みだらな女』など、ほぼ全編が近親相姦。あまつさえ、近親相姦を楽しみまくった末に結婚して出産したヒロインは、息子が成長して交わるのを楽しみにしている……という謎のハッピーエンドで終わっている。

 どうも古今東西を問わず「タブーを楽しむ」という嗜好に変わりはない様子。しかし、言うまでもなく虚構と現実はごっちゃにしないように気をつけよう。
(文/昼間たかし)

親族の基本構造

親族の基本構造

海外の神話でも近親相姦はいっぱい出てくるんですけどね。

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