中古同人市場に「オワコン」なし！ まんだらけに聞いたお宝ゲット＆高価買取を目指すための基礎知識

• ツイート
• 

◆買取価格が｢失速｣する同人作家と、そうでない作家の違い

――御社では同人誌やグッズの買取価格を記載した冊子を毎月作っていますが、こちらを見るとジャンルやカップリングごとの買取価格のほかに、有名同人作家単位での価格もあります。どのクラスから｢作家買い｣枠になるのでしょうか？

神作　まず同人活動の長期化にともない、長いキャリアを持つ大手作家の方が増えました。そのため10年、20年にわたりキャッチアップしている方々がいます。ジャンルを変えてもついていく、という感じですね。新興の方についてはジャンルごとに専門の店員を配置しており、日々目利きをしています。pixivでの人気やヤフオクの落札価格なども参考情報としてチェックしています。また、お客様のほうが詳しいケースも多々ありますので、当社への問い合わせやリクエストは貴重な生の声として参考にさせていただいています。最終的な価格の判断は属人的なものなので、ほかの同人誌買取をしている会社とは異なることもあるかと思います。当社内でも昔は店舗によって値段に差が出てしまうこともあったのですが、最近では情報の共有化を進めています。

――目利き、職人技の世界なんですね。

神作　そうですね。ただ、人気サークルの情報は専門の店員にかぎらずスタッフ全員で共有し、必要に応じ修正するようにしています。外野だから冷静に見られる、ということもありますし。それに、面白い二次創作の同人誌は、元ネタとなったマンガやアニメを知らなくても面白い！　と思えますから。

――すごくよくわかります！

神作　今の話に関連しますが、人気サークルでも長期的に見て値崩れしやすいサークルと、しにくいサークルがあるんです。これも結局は話の面白さです。原作やキャラクターへの愛情にあふれ、その作家ならではのオリジナリティを感じさせる作品はいつまでもニーズがあるため、値崩れしにくいです。一方、結局どのジャンルでも使えそうな王道展開の話というのも同人誌ではよくありますよね。

――いわゆる二次創作同人のテンプレート的といいますか、｢同人あるある｣的なお話ですね。

神作　もちろん、「あるある」の良さ、お約束の安心感、醍醐味もあります。ただ、あるある的なものはジャンルに活気があるときはいいのですが、それが過ぎると一気に値下がりしやすいと現場で思うところではあります。中古市場に大量に出回ってしまうんです。手放さない人が多い作品はなかなか値下がりしません。

――長期的な中古市場の価格が、作家としての力量を示すある種の数値になっているのですね。

神作　ただ、中古市場に出回る数はそもそもの発行部数によるので、一概に言えないところでもあるのですが。また、再録集を出すか出さないかも大きいですね。再録集をよく出すとあらかじめわかっているサークルの場合、そこまで買取価格は高騰しません。あと、長いスパンで見ると案外マンガより小説が強いんです。

――意外です！

神作　ジャンルも成熟していくんだなと思いますね。やはりマンガのほうがキャッチーですし、手に取りやすいので、ジャンル隆盛期はマンガのほうが引きはいいのですが、成熟期に入っていくと｢読みごたえ｣重視になっていきます。成熟期になると読者層の年齢が上がることも関係しているのでしょう。

 
• 前のページ
 
• 1
 
• 2
 
• 3
 
• 4
 
• 次のページ