グッズサークルは業者だと認めろ!? ニトロプラス同人ガイドライン騒動の意味

1407_nitro.jpgニトロプラス公式HPより。

「厳しすぎる」と話題になった、大手コンテンツ制作企業・ニトロプラスの二次創作に関するガイドライン。9日になり、ガイドラインの追加訂正が行われたことで、一旦は問題は回避されたようだ。一方で、この事件は、同人グッズが商業を喰うかのようになってしまった現状で起こりうるべくして起こった事件だと評する声が根強い。

 事件の発端となったのは、ニトロプラスが6月に公開した「非営利的な二次創作活動におけるガイドライン」だ。このガイドラインでは、同社が非営利の二次創作活動だとする基準として(1)創作性(2)直接販売(3)販売する量の総累計数が200個以内(4)売上予定額が小規模(10万円以下)を挙げて、販売規模がそれを上回る場合には版権使用料を支払うように求めていた。

 これに対して、公式が二次創作を認めたことを評価する一方で、書店委託禁止などの点が地方在住者に困難をもたらすとの指摘もなされていた。

 そうした中で同社社長の小坂崇氣は7月8日に自身のTwitterで「文章の精査が甘く、意図とは異なる表現になっていた」「僕は同人出身ですので同人活動を応援したいし、同人活動を規制しようという考えは全くありません」と発言し、ガイドラインを再改訂する意思を示した。

 7月9日になり公開された新たなガイドラインでは「二次創作活動における同人誌等の活動に関する取り扱いについて」というページが設置された、ここでは「同人誌等の活動における二次創作活動について、特殊な実態があることを鑑み、取引実態に即し、包括的に判断した上で、概ね過度な営利性がないものと判断しうるような事例については従来どおり、その活動についてファン活動の範囲内の行為として許容させていただければと思っております」と記載し「よろしければ見本として同人誌等を1部お送りいただければ幸いです」と、同人活動を従来通り許容する姿勢を見せている。また、書店委託に関する項目では「上記例は例示的記載」として、曖昧な部分をあえて残している。

 これらから推測されているのは、同社がガイドラインで規制の対象としたかったものは、同人誌ではなくグッズであるということだ。

「小坂社長のツイートから推測するに、法務に任せていたら、規制の枠が広がってしまったと見て間違いありません。ニトロプラスが問題視しているのは、あくまで同人グッズであり、同人誌ではないのでしょう」と、ある業界関係者は語る。実のところ、公式のグッズも同人のグッズも製造している工場は、ほぼ同じ。ゆえに、似たようなクオリティであり、ユーザーにとっては、公式も同人も大差がなくなっている。にも関わらず、従来同人からは版権利用料を得ることはできなかった。同人誌に比べて、グッズに創作性があるかといえば、とてもあるとは思えない。ニトロプラスに限らず、版権を持つ側からすれば同人グッズは海賊版に限りなく近いものであろう。

 同社のガイドラインでは、同人グッズを禁止するのではなく、一定規模を超えるならば、申請して版権利用料を払ってくれればよいとまで記している。もう、同人グッズを制作しているようなサークルは、自分たちが趣味のサークルじゃなくて、香具師のごとき零細業者だと認めたほうがよいだろう。いつまでも嘘をついていても、作品を痩せさせるだけだ。
(文/中目黒日向子)

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