「週刊少年ジャンプ」情報レビュー

『暗殺教室』で“参考書”業界にも地盤を築くか? 新たな試みを続ける「週刊少年ジャンプ」

――発行部数271万部(一般社団法人 日本雑誌協会発表)を誇る最強の少年マンガ誌「週刊少年ジャンプ」。そんな「ジャンプ」の最新情報をさまざまな角度からご紹介!

1407_jump32_m.jpg「週刊少年ジャンプ」2014年32号(集英社)。

 本日7日発売の「週刊少年ジャンプ」(以下、「ジャンプ」)2014年32号、表紙と巻頭カラーは、3弾新連載の1発目となる堀越耕平の『僕のヒーローアカデミア』だ。本誌では『逢魔ヶ刻動物園』『戦星のバルジ』の連載経験がある堀越。本作は、巻末の作者コメントでも触れている通り、「約7年前の読切を連載用に直し」たもので、連載デビュー前に増刊号「赤マルジャンプ」2008年WINTER号に掲載された『僕のヒーロー』を下敷きとしている。「ジャンプ」表紙のデザインや“ヒーロー”という題材、敵役を“ヴィラン”と呼称するなど、アメコミへの意識を伺わせる本作。マーベルコミックス、DCコミックなどの実写映画化を始めとしたアメコミ人気が追い風となるか、期待がかかる。

 今号の掲載順位では、上位に大きな動きはなし。単行本が365万部を突破(「ジャンプ」31号より)した『食戟のソーマ』も安定して高順位につけている。また、アニメ化が決まっている『ワールドトリガー』に、先日アニメが放送終了となった『ニセコイ』の掲載順位も、前号より上昇。新世代の作品も着実と地盤を固めている印象を受ける。一方、後半は赤塚賞準入選の特別読切『Cave Of Shine』、短期特別連載『それいけ!融合くん』と、ギャグ読切で埋まる中、『i・ショウジョ』が本誌での連載を終了。先週の『SOUL CATCHER(S)』のように、本誌からアプリ増刊「ジャンプLIVE」へ移籍することとなった。連載開始当初よりアプリの制作を進めるなど、新たな試みに取り組んでいた意欲作だったが、本誌での人気獲得は厳しかったか。

 今号の注目は、前号で実写映画化、アニメ化が発表された『暗殺教室』。最新単行本10巻の帯によれば単行本累計1010万部を突破するほどのヒットとなっている本作だが、8月には関連書籍として、英単語集『殺たん』が発売される。本書について、作者の松井優征は単行本10巻にて「学習本は、この連載が始まった当初からどうしても出したかった悲願」とまで語っている。描き下ろしイラストや小説、マンガも掲載されるというので、ファンブックとしての側面も見逃せなさそうだ。そもそも“萌え”参考書のヒット以降、『「涼宮ハルヒの憂鬱」で英単語が面白いほど身につく本』『「らき☆すた」と学ぶ 化学[理論編]が面白いほどわかる本』(共に中経出版)など、ライトノベルやアニメを援用した参考書の出版は2010年頃から増加していた。これにはこうした作品の登場人物が読者層と同年代であることから、親しみをもって受け入れられていることも一因のようだ。今回の『殺たん』の売れ行きによっては、集英社が今後も同様の書籍を出版することも考え得る。まずは『殺たん』の動きに注目だ。

 ちなみに、今号の表紙にも記載されているが、「ジャンプ」はこの7月で46周年を迎えた。先のアプリ制作や参考書に限らず、今なおさまざまな試みを打ち出す「ジャンプ」。マンガ作品はもちろんのこと、46年を超えてなお新たな企画にも期待したい。
(雑誌やマンガ作品に関して、言及のない限り、版元は集英社。文中、敬称略)

逢魔ヶ刻動物園 1 (ジャンプコミックス)

逢魔ヶ刻動物園 1 (ジャンプコミックス)

キャラデザはこの頃からクオリティ高し。

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