【新連載】姫乃たまの耳の痛い話~アイドルはやめられない~ 第1回

ヤラせてくれなきゃデータ渡さない! 地下アイドル界にもはびこる枕営業の実態とそれでもやめらないワケ

 レコーディングに関する知識がなく困っていたところ、よくライブで共演するアイドルの子がエンジニアの男性を紹介してくれるというので、レコーディング設備がある彼の自宅を見学しにいきました。普段から私のことを可愛がってくれていた彼女は、彼が私を気に入ったことを喜んでくれて、ギャラも友達価格にすると言ってくれました。

 正直、友達価格もなにも相場が分かっていなかったのですが、ここでギャラの話を詰めるのは和やかな雰囲気を壊す気がして、うやむやのままレコーディングが始まりました(最初にギャラの話をしないのは失礼ですし、トラブルの元ですが、人の技術に値段をつけるなんて未成年の私には想像もできないことでした)。

 そのエンジニアとも打ち解けてきて、何度目かのレコーディングが終わる頃、付き添わなくなった彼女からの着信が増えてきました。彼にも頻繁にかかってきているようでしたが、レコーディング中は電話をとらないので、私の方に何度もかかってきます。しかし日増しに話す内容が混乱してきて、電話口で延々と泣き叫ぶ声を聞かされることもあり、ひどい日は短時間に数十件も不在着信がありました。

 あるレコーディング予定日、彼から「彼女が家の前で待っている気がして怖いから、自宅に行きたくないのでバラしてほしい」と着信がありました。どうやら円満じゃない別れ方をしたとのこと。あ、付き合ってたんだ。たしかに彼女がギャラを交渉してた時点でおかしかったなあ。だから電話でてなかったのか。

 あまりにも鈍感で未熟だった私は、まさか彼女の頭の中で、このレコーディングが、私が、別れの原因になっているとは思いもしませんでした。そんなことより、昼は慣れない大学生活、夕方は舞台の稽古とライブ、深夜から朝までのアルバイトで埋まっており、レコーディングを終わらせることで頭がいっぱいでした。

 私はこの時まだ、精神を病んだ人との付き合い方をまったく分かっていなかったのです。彼女は共通の知人やイベンター、アイドルに電話をかけまくり、瞬く間にあらぬ噂がまわった私はどこへ行っても好奇の目で事実確認をされるようになりました。彼女の包囲網は関係者だけにとどまらず、営業としてプライベートのアドレスと番号を交換していた(厳密なルールはないけど、地下アイドルでも番号交換はダメです。念のため)ファンまで巻き添えになり、あくる日のライブで「話は聞いたよ。姫乃ちゃんには失望した……」と言われました。

 ちょっと待ってよ! しかもその、弱い女の子を守る自分に酔ってる口調やめて!!!

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