「二次創作映画」と原作ファン激怒!? 水嶋ヒロのクリエイティビティが爆発した映画『黒執事』レビュー

 この後、高級クラブの秘密パーティに潜入したり、薬品会社の工場に潜入したりして、連続怪死事件に秘められた意外な真相と、それらを操る黒幕を探っていくのですが――観終わって「面白いか、面白くないのか、どっちなんだ!」と言われると……ビミョー。

 いや、ホントいいところもいっぱいあるんですよ。特に、原作のゴシック調と映画独自のレトロフューチャーな感じが入り混じった背景や衣装に小道具、シーンによって抑え目にしたり、コントラストを強調したりするメリハリの効いた撮影などのビジュアル面は、既存の日本映画では観られないような、独特な世界観を醸し出していると思います。

 ドラマの面でも清玄の叔母・若槻華恵役の優香の熱演は素直に感心したし、原作のエピソードや台詞を随所に盛り込んだ脚本も、ファンサービス精神の現われでしょう(ただ説明台詞と回想シーンは、もうちょっと減らしてほしかった)

 ただ、それ故に原作から改変された部分がひっかかるというか。ローランド・エメリッヒ監督の『GODZILLA』や『DRAGONBALL EVOLUTION』『47 RONIN』を観たときのような違和感がぬぐえない、というか。

 ちなみに今回、ネットの感想で最も印象的だった意見は、前述の水嶋さんの「単なるコスプレ映画になってしまってはダメですから」発言へのアンサー

「コスプレ映画でいいんだよ! こんな二次創作映画なんかより!!」

 でした。

 あくまで原作に忠実な映像化か、独立した作品としての映像化か、実写映画化がはらむ究極の選択について、個人的にはいろいろ考えさせられる映画でした。
(文/雑賀洋平)

GLOBAL WORK vol.2 (講談社MOOK)

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完璧な執事であり、完璧な編集長でもある…?

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