40代からのオタク入門 第3回

“みんな可愛い男の子”じゃ見分けがつかない! 『ヘタリア』を理解する本当の難しさ

131224rio_main.JPG(イラスト/安田三号)

『ヘタリア』【1】というマンガが人気を集めているという話は知っていました。いわゆる擬人化モノで、国をキャラ化したもので、特に腐女子方面での支持が高く、コミケなんかだとメジャーなジャンルになっているらしい。

 たまたま実の娘である本連載イラスト担当の安田三号が「あたし、持ってるよ」というので借りて読んでみました。オタク初心者としては、なんでも勉強のつもりです。
 
『ヘタリア』はもともと、アメリカ在住の日本人マンガ家である日丸屋秀和が自身のサイトで連載していたところ、その人気に火がつき、単行本化され、雑誌連載も始まり、テレビアニメ化や映画化もされたというもの。正式タイトルは『Axis Powers ヘタリア』で、Axis Powers=枢軸国である(北)イタリア、ドイツ、日本を擬人化した3人を中心に、連合軍のアメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア、さらにはその他の国も登場し、世界史ベースのエピソードをギャグにしたマンガです。

 腐女子方面に人気というだけあって、それぞれのキャラは大変可愛らしい男性(一部女性もいますが)で、ほのぼのとイチャイチャしています。本来の殺伐とした世界史のムードとは違って、なんともラブリーなマンガであります。

 世界史は、そんなに詳しくないんですが、それでも国民性をネタにしたギャグなどは、わかりやすく楽しめました。三号も、それほど世界史ネタはわからないはずですが、純粋にキャラのやりとりを面白がっているようです。

 宗教ネタの『聖☆おにいさん』【2】や地獄ネタの『鬼灯の冷徹』【3】なんかも、元ネタがわからなくてもそれなりに楽しめますしね。こういうマンガをきっかけに興味を持って勉強するようになってくれたら、うれしいなぁ、なんてたまには父親らしいことを考えたりして。

 ……と、書いたものの、実際にはなかなか読み進むことができません。マンガを読むのは早いほうなんですが、『ヘタリア』は1冊読み通すのにやたらと時間がかかってしまうのです。

 なぜかというと、誰がどの国のキャラなのかわからなくなってしまうからなのでした。だって、みんな「可愛い男の子」キャラで、区別がつかないんですよ。国がわからないと、ネタのギャグだって、理解できないじゃないですか。いちいち登場人物一覧のページを見て確認しないといけないので、なかなか読み進むことができないのです。

 アニメ版も見てみたのですが、やはりキャラの見分けがつかないので、三号にも一緒に見てもらい「これはアメリカ」「これはイタリアの弟の方」と教えてもらって、ようやく笑えるというありさまです。

 しかし、三号よ、お前はよくパッと見てわかるなぁ。記憶力の衰えをひしひしと感じているおじさんにはハードル高いわ……。せめて登場するたびにキャラ名のテロップ入れて欲しい……。

 と言ったら、三号に「でも、あたしはお父さんの好きな『三国志』(横山光輝版)のほうが、キャラの見分けがつかないよ。あれがわかるなら、簡単だと思うけど……」と言われました。

 ああ、確かにそうだねぇ。でも、実は、お父さん、『三国志』もよく見分けがつかなくなるんだけどね……。
(安田理央)

<作品メモ>
【1】『Axis Powers ヘタリア』
アメリカ在住の作者・日丸屋秀和が、自身のWebサイトに掲載しているウェブコミック作品で、ドラマCD、アニメ、書籍化を展開中。世界史をモチーフとして、世界のさまざまな国固有の風俗、風潮、気風、風土などを人型に模したキャラクターたちが展開する、国擬人化歴史コメディ。
★マンガ(作者)公式サイトhttp://www.geocities.jp/himaruya/hetaria/
★マンガ(幻冬舎)公式サイトhttp://hetalia.com/top.htm
★アニメ公式サイトhttp://hetalia.com/bw/top.html

【2】『聖☆おにいさん』
2006年から「モーニング・ツー」(講談社)で連載中の中村光のマンガ作品。2009年には、「このマンガがすごい! 2009」(宝島社)オトコ編1位、手塚治虫文化賞短編賞受賞。ブッダとイエスが下界のバカンスを満喫しようと、日本の東京都立川の安アパートの一室で暮らすという設定で描かれる日常コメディ。
★マンガ公式サイトhttp://morning.moae.jp/lineup/25
★アニメ公式サイトhttp://www.saint023.com

【3】『鬼灯の冷徹』
第57回ちばてつや賞一般部門佳作を受賞した江口夏実の『非日常的な何気ない話』をもとに、2010年に「モーニング」(講談社)にて『地獄の沙汰とあれやこれ』と改題され、読み切りとして掲載。2011年14号より現在のタイトルに改題され、連載中。閻魔大王の第一補佐官・鬼灯の地獄でのドSな日常を描く、シュールなブラック・コメディ。
★マンガ公式サイトhttp://morning.moae.jp/lineup/116
★アニメ公式サイトhttp://www.hozukino-reitetsu.com

安田理央(やすだ・りお)

Rio_prof.JPG

1967年、埼玉県生まれ。主にフリーライター。及びアダルトメディア研究家、ニューウェーブ歌手、など。主な著書に「日本縦断 フーゾクの旅」 (2004年 二見書房)「エロの敵 今、アダルトメディアに起こりつつあること」(2006年 翔泳社 雨宮まみと共著 )、「45歳からのアニメ入門」(2013年 Kindle 田口こくまろと共著)などがある。本連載イラスト担当、安田三号は長女。
●公式サイト<http://www.lares.dti.ne.jp/~rio/
●公式ブログ<http://rioysd.hateblo.jp/

45歳からのアニメ入門

45歳からのアニメ入門

まどマギ=女の子の世界、ヘタリア=男の子の世界

“みんな可愛い男の子”じゃ見分けがつかない! 『ヘタリア』を理解する本当の難しさのページです。おたぽるは、人気連載作品レビュー作品レビュー連載連載の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!