『このマンガがすごい!』は本当に無難? ランキングよりも面白い選者たちの業

 そのほかにも、「販売店別コミックス売上ランキング」では、『ONE PIECE』(集英社)、『進撃の巨人』(講談社)を抑え、浅野いにおの『おやすみプンプン』(小学館)が1位になっているヴィレッジバンガード高円寺店や、『黒執事』(スクウェア・エニックス)や『黒子のバスケ』(集英社)が上位を占めるアニメイト池袋店など、各店舗のカラーが強すぎてめまいがしたりと、読みどころは満載。今年もなんだかんだで、かなり堪能させてもらった。

 最後にちょっとだけストレートな注目ポイントを挙げておくと、『このマン』の本当の注目ポイントは集計対象期間外の新刊や未刊行作品を扱ったコーナー。今年は「気になるあのマンガ!」と「まだまだある! この雑誌がすごい」あたりが該当企画だが、このコーナー、実は案外打率が高いのだ。

 たとえば、一昨年の2012年度版では、「単行本未発売&投票期間外作品」というコーナーがあるのだが、ここですでに『俺物語!!』(集英社)、『空が灰色だから手をはなそう』(秋田書店)、『五大湖フルバースト -大相撲“心・技・体”伝説-』(講談社)などが挙がっている。『俺物語!!』は翌年刊行され、2013年度版『このマン』オンナ編で1位に。『空が灰色だから手をはなそう』は『空が灰色だから』に改題され、こちらも翌年オトコ編19位にランクイン。『五大湖フルバースト』も25位と高位につけている。

 ランキング的には「ヒット作が並んでいる」印象も強い『このマン』だが、細かい企画では案外発掘力もある。このあたりを中心に読んでいくと、単なるランキングとは違う面白さが見つかるのではないだろうか。
(文/小林聖)

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