ヘタの研究 vol.7

若手俳優の演技がここ10年で「ウマく」なった理由とは? 松崎史也氏に聞く!【ヘタの研究】

■俳優がうまくなる「兆し」とは?

――松崎さんは演出家として演技を見る立場でもありますが、役者がいきなりうまくなったなと思うようなことってありますか?

松崎 ありますよ。経験が浅い俳優なら特に、その公演中にはできなかったことも次の公演ではできるようになっていたりということはよくあります。別の現場を経験して随分上手くなって戻ってきたなと思うこともありますね。

――一方、じわじわ成長していくタイプの人もいるんですか?

松崎 はい。本当に人それぞれなので、そういう様を毎日見ているのは楽しいです。

――これはウマくいきそうだなみたいな「兆し」ってありますか?

松崎 あります。演技のアドバイスに対して「分かりました」と返事をしたときの目の感じですね。 光っている時は次はできるだろうなと思います。役者は皆「分かりました」とは言うので。捉えられていないときは目を見るとわかるんですよね。

――演技指導で想像しがちな「灰皿が飛んでくる」みたいなのは、今はほとんどないのでしょうか。

松崎 んー、人にももちろんよりますが、時代もありますし、今はほぼないのではないでしょうか。というか、灰皿投げにも技術や必然性があったはずなので、投げない者が語ることはできません(笑)。

 それと、そもそも今の俳優は全体としてうまい子が増えてきたと思っているので、僕自身は大上段から演出することはないですね。

――なぜうまい若手俳優が増えたのでしょうか?

松崎 舞台を観る人が増え、市場が大きくなったためです。少なくとも顔立ちが整った男子俳優、いわゆるイケメン俳優に関しては、2.5次元などを中心とした新しい市場ができましたよね。ルックスがいい中学生や男子高校生の職業の選択肢としてそういった「イケメン俳優」が入るようになったのではと思います。もちろん、俳優とイケメン俳優を分けることはまたデリケートさを孕みますが、一つの判断基準として、それが武器になる市場という意味において。

――ここ10年で急成長した市場ですよね。

松崎 しかしやはり入ってみたら厳しい世界で、人より抜きん出続けないとその立場には居続けられません。目指す人口が増えた分、その競争の中でもまれ続けるわけですから、やはりうまい子が増えますよね。

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 後編でも引き続き松崎氏に「テレビ、映画と舞台の違い」も含め、演技のうまい、ヘタについて伺っていく。

(文/石徹白未亜 [https://itoshiromia.com/]

■松崎史也 プロフィール
1980年3月26日生まれ、東京都出身。演劇企画『SP/ACE=project』主宰。脚本家・演出家・俳優として活躍しており、『人狼 ザ・ライブプレイングシアター』シリーズでは演出を手掛けるほか、「医師 マドック」役で出演。主な演出作は『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』シリーズ、「MANKAI STAGE『A3!』」シリーズ。現在、「MANKAI STAGE『A3!』~SUMMER 2019~」が絶賛公演中。

Twitter:@fumiya326

 

◆石徹白未亜の過去記事はこちら(【おたぽる】【日刊サイゾー】)から◆

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