『骨が腐るまで』5人の少年少女が過去に犯した“罪”と、彼らを待ち受ける“地獄”とは……? 

 別にいつも一緒にいるわけではないけれど、パッと見は普通の仲良し5人組。信太郎は冴えないチビだけど、イケメン生徒会長の明には心から信頼され、「俺のヒーローさ」とまで言われるほど尊敬されている。それは明の彼女である椿が少し嫉妬するほどだが、信太郎は椿に永遠の片想い中。それでも椿の相手が明で良かったと心から思っていた。

 悪友の竜は元ヤンでイカツイ長身眼鏡だが、根は良い男で、今時の小悪魔系ギャル風だが可愛らしい遥に思いを寄せている。しかし、遥が好きなのは信太郎で、それは竜もお見通しだ。そんな微妙な関係がもう5年も続いているが、そこには5人の強い友情を誓う“儀式”があったのだった──。

 最初のページで幼い5人が輪になって、「大罪の秘密を守り抜くことを誓います」と“宣誓”する意味深なシーンからスタートする『骨が腐るまで』(作:内海八重/講談社)。一体何があったのかと、早くも読者は心を掴まれるだろう。信太郎たち5人は、とある事件をきっかけに、毎年夏祭りの夜に集まるのが恒例になっていた。11歳の夏に、彼らは人を殺して死体を埋めたのだ。

“誓いの印”を持って集まった5人は、毎年その死体を確認し、友情を確認する“儀式”を行って秘密を漏らさないことを確認し合う。死体は5年かかってようやく完全に白骨化したが、高校2年生のこの夏、変化が起きた。先日確認したばかりの死体が何者かに盗まれ、携帯電話が埋められていたのだ。そこから聞こえる声が、信太郎たちに過酷な指令を告げる。

 まずは死体をバラバラにすること──信太郎たちの名前や行動を知っている何者かが、死体を“人質”にして、醜悪な行為を要求する。とにかく死体を取り戻すのが先決だと判断した信太郎たちは、言われるがままに汚い行為に手を染めるが、徐々に心も壊れていく。何者かは信太郎たちを警察に突き出すのが目的ではないらしく、ただ残酷なまでに手ひどく死体の処理をさせていた。過去の事件を通して強く結ばれた5人の友情は、新しく起こった事件によって崩壊させられていく──。

 物語に挟み込まれる回想を見ると、かつて5人が殺したのは、信太郎の父親だったことがわかる。母親を亡くし、信太郎に激しい暴力を振るうようになった父親は、死んでも良い存在と認識されていたようだ。結果的には5人でなんとか父親を始末するのだが、しかし全員が「一番悪いのは自分だ」と思っているため、その時の話は暗黙のタブーとなっている。

 ところが、その5年前に信太郎の父親を殺してしまおうという相談中に、明と竜が喧嘩になってしまい、それに巻き込まれた遥が怪我をしたことを、何故かその何者かは知っていた。信太郎は何かとても大事なことを忘れているのではないか……そう思ったが、考える間もなく新たな指令が与えられる。5人集まっての強制脱衣、そして2度目の死体解体。これは、誰だ……?

 そんな中、刑事である遥の姉により、最初に解体して捨てた死体が警察に見つかったことを知る5人だが、信太郎は安心できずにいた。自分たちは捕まらないだろうが、あいつが捕まれば“人質”の死体は戻ってこない。それでは困るのだ。しかも、遥の話では、とても利発な刑事が死体を解体したのが素人であることまで見抜いていた。さまざまな方向から5人に危機が迫る。精神的にももうギリギリなのに、これ以上どうすればいいのだろうか? 彼らの友情の行方は!?

 一度知ってしまったらもう逃れられない秘密を、信太郎たちと読者は共有することになるだろう……。
(文/桜木尚矢)

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