脳波でロボットアームを動かす科学的“念力”技術が実用間近の段階に!

 超能力者が備えているといわれる念力(サイコキネシス)は、常人にとっては便利このうえない夢の能力だろう。だが、その夢が科学的に実現する日は意外に近いのかもしれない。

脳波でロボットアームを動かす科学的念力技術が実用間近の段階に!の画像1YouTubeより。

■科学的“念力”技術が実用化へ

 パソコンを使うにしてもゲームをするにしても、最低限キーボードやコントローラを操作しなくてはならないが、頭で念じるだけで物を動かせればこんなに楽なことはない。しかし驚くなかれ、科学技術を駆使した“念力”が実用間近の段階にきているのだ。

 ミネソタ大学の研究チームは新たなBCI(Brain Control Interfaces)を使って、脳波でロボットアームを動かす技術を開発した。この技術を紹介する動画では、EEG(electroencephalography)と呼ばれる脳波を検知する帽子を被った人物が“念力”でロボットアームを操作し、机の上の物体をつかんで棚に収める課題を見事に成功させている。

脳波でロボットアームを動かす。「College of Science and Engineering, UMN」より

 新たに開発されたBCI技術では、64個の電極が装着されたEGGで脳波を敏感に検知し、さらに高い精度で脳波の“意味”を解釈して指示を出し、ロボットアームを動かす。リモコンやコントローラを手で操作することなく、脳波だけでロボットアームを動かす様子は、まさに科学的な“念力”である。

 今回の研究発表までに2,000回のテストを繰り返したということだが、その成功率も高く実用化が有望であることもわかっている。モノを“つかむ”課題については、80%以上の確率で成功し、“棚におさめる”課題についての成功率は70%以上であった。今後、人間の側が脳波の出し方に習熟することで、もっと成功率は高くなるだろう。まさに実用化寸前のところまできていると言っても過言ではない。

■リスクフリーの“動く義手”も登場間近

 脳波でロボットアームを動かす研究自体は、もちろんかなり以前から行なわれてきている。2012年には、四肢まひの人物が脳波でロボットアームを操作し、自分でチョコレートバーを食べることに成功して一躍世の注目を集めた。しかしながら、その当時までは、このBCI(脳波コントロール・インターフェース)技術は、脳への外科手術を前提としたものであった。その点がBCIの普及において一部の専門家らが難色を示す理由であった。

 だが今回のミネソタ大学の研究は、脳外科手術を必要としない新開発の高い精度のEEGを使うことで、きわめて簡便に科学的“念力”を可能にする画期的なものになった。四肢に障がいのあるなしに関わらず、EEGを頭にかぶるだけで誰でもこの科学的“念力”を活用することができるのである。

「脳外科手術を伴わずに、人間が思念だけでロボットアームを動かし、複雑な3D環境でモノをつかむことができたのは、今回が世界で初めてのことです。彼らはイメージするだけでロボットアームを動かすことができるのです」と、ミネソタ大学のバイオメディカル工学の専門家であるビン・へー教授はミネソタ州の地元紙「Star Tribune」の取材に答えている。

 またこれまで別のアプローチから“動く義手”の研究が進めらていたが、こちらのほうもその多くの場合、義手の装着部分に外科手術が必要とされ、術後のケアには細心の注意が要求されるものであった。しかし今回のミネソタ大学の研究では、脳はもちろん四肢の外科手術も必要としない“動く義手”の登場を見込んだ画期的なものになる。夢の超能力である“念力”と、リスクフリーの“動く義手(義足)”の実用化がすぐそこまできているようだ。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・Star Tribune
http://www.startribune.com/university-of-minnesota-pioneers-new-robotic-arm-controlled-by-the-mind/406417566/

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