『刀剣乱舞』審神者、必読!? 少女マンガ『風光る』で知る、土方歳三の愛刀「和泉守兼定」のアレコレ

1506_kazehikaru.jpg風光る第5巻(小学館/渡辺多恵子)

 日本全国に謎の刀剣ブームを巻き起こしている『刀剣乱舞-ONLINE-』(以下、『刀剣乱舞』)。イケメンに擬人化された刀剣を育てるというネットゲームだ。手に入れた刀剣を戦場に出して戦わせたりするのだが、そうして傷ついた刀剣が、衣服の裂けた、いたいけな姿になるなどというサービスもあり、ヲタ女子心を刺激している。

『刀剣乱舞』は基本無料の女性向けブラウザゲームだが、なめてかかってはいけない。刀剣のキャラ作りに関してはかなり真摯に取り組んでいるのだ。それぞれの刀剣キャラには、その刀剣自体の歴史や、持ち主の性格が反映されている。例えば新選組隊員が所有していたと言われる刀剣は、浅葱色の羽織を羽織っていたりする。土方歳三は、太刀は和泉守兼定を、脇差は堀川国広を愛用していたということだが、ゲームでもこの2刀は相棒同士で、国広は兼定の助手という設定だ。こうした本格的なこだわりが、多くのファンを魅了している理由だろう。

 ところで、少女マンガに刀剣ネタがあるのをご存じだろうか。新選組に男子と偽り入隊した主人公と隊員たちとの交流を描くマンガ『風光る』(小学館)だ。昨今の腐女子新選組ブームの先駆けとなった作品である。

 その第5巻に、こんなくだりがある。土方歳三の剣さばきを見た古川友弥と名乗る男が、土方に憧れて新選組に入隊する。どうも友弥はホモっ毛があるようで、土方の身体各部の寸法と手癖が知りたいと熱っぽく騒いでいる。しばらくすると彼は、土方の刀、兼定を持ったまま行方不明になってしまうのだ。動揺する主人公。しかし「必ず戻る」と書き置きしていたことから、土方はじめ隊員がそれを信じて待っていたところ、友弥は拝借した兼定とともに、新しい「兼定」を持って戻ってくる……という話だ。

 その和泉守兼定は、東京・日野にある土方歳三資料館に所蔵されており、期間限定ではあるが実物を見ることができる。そして、この兼定には逸話があるのだ。近藤勇の手紙によると、「土方歳三の和泉守兼定は二尺八寸」とある。しかし現在、土方歳三資料館にある兼定は、二尺三寸なのだ。資料館館長の土方愛氏によると、「歳三は兼定を何本か持っていたのだろう」ということだが、寸法が合わない理由については諸説あるようだ。『刀剣乱舞』の兼定も、「オレは評価の高い二代目(が打った刀)じゃなく、十一代目か十二代目が打った刀だけどな」と、その出自を明らかにしていない。

『風光る』のこの兼定ストーリーはおそらく、寸法違いの兼定ネタに創作を加えてマンガに仕立てたものだ。刀匠・十一代兼定は会津藩御用を務めており、また土方は会津で療養をしていたことがあるため、その関係で兼定を入手したのではないかと言われている。『風光る』では、会津藩とは関係のないところで新しい兼定を手に入れたことになっているが、「古川友弥」は刀匠・十一代兼定の本名である。つまり、土方は『風光る』でも十一代目から兼定をもらっていることになる。創作とはいえ、ちゃんと史実を調べた上でのシャレなのだ。やはり人気の出る作品は、どれほど創作度合いが高くても、きちんと対象物への敬意と愛情がこもっているのだ。そういう姿勢は、読者やユーザーに伝わるものである。

『刀剣乱舞』で刀剣への熱い想いがこみ上げている審神者のみなさま、兼定実物の公開は来年まで待たなければいけないけれど、心の隙間をちょっぴり少女マンガで埋めてみませんか。ちなみに『風光る』4巻にも、刀剣に関するこぼれ話がありますぜ。
(文/和久井香菜子)

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