〜私は如何にして心配するのを止めてYUIMETALを愛するようになったか〜 第1章

BABYMETALの“メタル・レジスタンス”を追う―30才の男が15才の女の子に夢中になった 

 かわいい。かっこいい。とんでもない。
 ときめきと憧れと驚きの三拍子を揃えた完璧なエンターテイメント。年齢を半分に叩き割った歳の女の子に夢中になるのは、おかしいことなのだろうか。とにかく熱い。生温さなんてどこにもない世界。その女の子、YUIMETALは私のくだらない葛藤をぶった斬る。

 BABYMETALはYouTube、Facebookなどインターネットでその魅力が瞬く間に世界中に広まった。アイドルグループ・さくら学院から派生したユニットの一つ、“重音部”としてスタートしたその部活動は県大会、全国大会を軽く飛び越えて、すでに“世界大会”に出場している。iTunesで世界各国のロック/メタルチャートで1位を獲得し、アメリカでCDアルバムを発売していないのにもかかわらず、配信のみでBillboard 200に名前が挙った。ここにランクインしたのは日本人アーティストでは2000年以降、宇多田ヒカルとDIR EN GRAYとBABYMETALのみ。今年から“メタル・レジスタンス 第二章”と称し、ワールドツアーを実施。すでにフランス、ドイツ、イギリスで成功を収めている。アメリカのLAでのワンマンライブは1分でチケットがソールドアウト。オークションで800ドル(約8万円)に高騰するなど、海外での人気ぶりは留まることを知らない。

「そんで、レディー・ガガが自分からアメリカツアーの前座に呼んだんよ」

 この世界的人気がある意味全部言い訳にしか聞こえないかも知れない。イギリスに行く前に他人にBABYMETALの凄さを説明した。海外旅行に一切興味がない私が海外に行くのだから、「なんで行くの?」と色んな人に当然聞かれるわけだ。「YUIMETALのほっぺたがプニプニしているから」なんて言えない。

 新しいメタルの誕生を意味する“BABYMETAL”が音楽に新しいジャンルを刻み込み、音楽界に風穴をあける瞬間を目撃しに向かう。イギリス最大級のメタルフェス・Sonisphere、そしてロンドンのワンマンライブに足を運んでしまった。

 私が如何にして心配するのを止めて海外に飛んだのか、そのワケを伝える必要がある。本連載は映画のスタンリー・キューブリックの名作タイトルを文字ることでなんとか気持ち悪さを中和したつもりだが、結局気持ち悪くなることを先に伝えたい。

 私自身はロリコンと言われても別にいい。ただ、BABYMETALはロリコンのものじゃない。YUIMETALはその愛くるしいふっくらした頬の輪郭により、3人の中で最も“ベビー”の要素を十二分に発揮した容姿。そんな彼女が、本格的メタルサウンドでバスドラの重低音と爆撃のようなベースと鋭く殺気立ったギターに包まれて踊っている。それは大きな振り幅でしかない。生と死レベルで正反対、男と女レベルで真逆。そこに魅力を感じる。観る者を圧倒するプロ意識とプロ根性。やがてふっくらとした頬が目を閉じても思い浮かび、YUIMETALを愛してしまう。

 イギリス・Sonisphereで巨体のコワモテメタラーたちを「チェケラチョッコーレートチョッコーレートチョッチョッチョ〜♪」と歌わせたBABYMETALは、間違いなく新しい世界の扉を開いてくれたのだ。

■「YUIMETALはヒーローであり、ヒロイン」

 彼女たちは謎めいていた。
 ライブ中、MCは一切ない。それに個人のブログとTwitterがなく、BABYMETALとしての本人発信の情報が皆無に等しい。それぞれのパーソナルな部分が見えないのが渇望感を生む。探究心を煽る。YouTubeという現代らしい広がり方をしている反面、その神秘性は情報過多の時代に良い意味で逆行している。ある意味昔のアイドルに近いのかも知れない。「この子たちは一体何者なんだろう?」という興味がさくら学院のメンバーブログ『学院日誌』に辿り着く。これは私のみならず世界中の人々が今後辿る道だろう。そこでYUIMETALの世を忍ぶ仮の姿=水野由結の素性を知り、トマトが好きだと綴る彼女に倣って頑張った後にはトマトを食べることになる。

 YUIMETALと水野由結。2つの顔を持つ中学生なんてこの世にいるのか。映画を観ているような気分だ。いわば『キック・アス』の殺し屋ヒロイン「ヒット・ガール」。YUIMETALのその手には2丁拳銃すら薄ら見える。『ギミチョコ!!』の歌詞通り、まさにズキュン! とドキュン! と撃ち抜いてきたのだ。これは子どもの脅威でしかない。孫悟飯だって名探偵コナンだって、いつだって私たちは小さな身体を持つ者たちの活躍に熱狂する。その伝統はYUIMETALによって更新された。

BABYMETAL(通常盤)

BABYMETAL(通常盤)

ベイビーじゃなくて、「ベビーメタル」なんで、そこんとこよろしく

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