範馬勇次郎に海原雄山…丸くなっていく“強いオヤジ”たち マンガ・アニメに見る父親キャラクター像の変化

『ドラゴンボール』のベジータも当初はかなりえげつないキャラクターだった。初登場は、攻め込んだ星の住人から腕をもいでバリバリ食べているシーン。数少ないサイヤ人の生き残りである同胞のナッパを殺したのも実はベジータだったことを、皆さんは憶えているだろうか? そんな彼に明らかな変化が生じたのは、息子・トランクスと接するようになってからだ。息子がやられた時は激昂して絶対勝ち目のない相手に立ち向かい、武闘会で活躍した時は「オレの息子のほうが血統がよかったらしい」とドヤ顔で悟空に自慢している。どこから見ても子煩悩なパパである(ちなみに無職)。終盤の魔人ブウ編でトランクスをやさしく抱きしめたシーンなどは、男でも惚れてしまうほど。編集部による連載引き伸ばしが限界に達した魔人ブウ編はファンから酷評されることもあるが、“父親としてのベジータ”はここで初めて完成を見せたといってもいいだろう。

 作品の長寿化に伴って丸くなっていった上記3人に限らず、近年はさまざまなマンガ・アニメ作品で“強くない、厳しくない”父親キャラクターの姿が見られる。パッとしない三十路サラリーマンでありながら時々やけにカッコいい『クレヨンしんちゃん』の野原ひろしは高いファン人気を誇るという。また、たとえば『魔法少女まどか☆マギカ』では主人公の父親が“専業主夫”としてその存在感をアピールした。強くはないけど、やさしく、いつでも“そこにいてくれる”安心感が現代の父親キャラクターに求められているのかもしれない。少なくとも我が子にトレーニング用のギプスを装着させたり、我が子のガンダムに怪しげな電子回路を組み込もうとするような父親は確実に求められていないはずだ。

 ちなみに筆者自身が理想とするのは、『親父』の沼田竜道、『ARMS』の高槻巌など“性根はやさしいけれど家族を守るためなら鬼神にもなれる”ような父親キャラクターだ。皆さんにとって“理想の父親像”となるキャラクターは誰だろうか? 父の日を前に、思いを巡らせてみるの一興だ。
(文/浜田六郎)

Arms 1 (少年サンデーコミックスワイド版)

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”チート親父”というと、やはりこれ。

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