新條まゆたんのマンガ家人生に田中圭一が迫る!人気マンガ家が“1コマの魅力”を語る異色のインタビュー企画の背景とは?

 今月28日、文芸やビジネス書、雑誌に加え、数多くのマンガを販売している電子書籍プラットフォーム「BookLive!ストア」にて、一風変わったインタビュー企画が開始された。『わが生涯に一片のコマあり』と銘打たれた当インタビューは、人気マンガ家本人が自身の作品の“思い入れの深い1コマ”にフォーカスするものだという。

新條まゆたんのマンガ家人生に田中圭一が迫る!人気マンガ家が1コマの魅力を語る異色のインタビュー企画の背景とは?の画像1「わが生涯に一片のコマあり」ページより。

 一見、「なんだかニッチな企画だなぁ」とも思うが、この企画でインタビュアーを務めるのは、手塚治虫タッチで下ネタを展開するパロディーマンガ『神罰』(イースト・プレス)などで知られるマンガ家の田中圭一氏。なんでもこの企画は、現在、「BookLive!ストア」を運営する株式会社BookLiveに、サラリーマン兼業マンガ家として勤務する田中氏、肝入りの企画だという。

 しかも、当連載第1回目のインタビュー相手は、“まゆたん”の愛称で親しまれるマンガ家・新條まゆ女史。『快感フレーズ』(小学館)で過激な性描写を描き、少女マンガの新たな地平を切り開いた新條氏と“マンガ界の暴れん坊将軍”田中氏の邂逅……。これは波乱の予感しかしない!

 というわけで、まず田中氏に当企画の意図や見どころについて話を聞いた。

「一般的にインタビュー記事は、『10,000文字インタビュー』などのタイトルで、ややもすれば『文字数が多い=内容が濃い』というものが売りになったりします。しかし、紙の本に比べてWebコンテンツは、簡潔でわかりやすく読みやすく、なおかつインパクトのあるものが求められます。文字数が多いことはWebコンテンツではメリットにはならないことが多いです。

 そこで、漫画家インタビューをBookLive!ストアでスタートするにあたって『漫画家が命を賭けた1コマ』というテーマはどうだろう? というアイデアが社内で出されました。1コマに言及することでテーマが明確になり、かつ簡潔でインパクトのあるインタビュー企画になりそうだ、ということでこの企画、一気にGoサインが出ました。

 1コマといっても毎回切り口は変わると思います。『読者を熱狂させ作品を一気に有名にした1コマ』『漫画家が苦労の末に生み出した1コマ』『作品中でストーリーのターニングポイントとなった1コマ』。その1コマを紹介することで、その作品を未読の読者にも『インタビュー記事を読むうちに、この作品を読んでみたくなった』と思ってもらえれば、この企画は半分成功したようなものです」(田中圭一氏)

 なるほど、ウェブならではのインパクトを重視した企画ということらしい。特にこの企画のウリはどういったところになるのだろうか?

「前述したように、Webコンテンツであることを前提に、簡潔でわかりやすいテーマ、それでいて『マンガ読み』が知りたい創作の裏側をガッツリと聞き出している点が特徴です。間口は広くて読みやすく、でも浅くないインタビュー企画です。1コマに絞り込むことで、その作品の魅力、その中心核に迫ります。

 また、聞き手が同じマンガ家である、という点もこの企画の第ニの特徴です。創作の大変さ、作り手だけが感じるエクスタシーなど、マンガ家目線で聞き出すことができると思います。

 そして、最後に田中圭一ならではのパロディーイラストで絞める、お遊び心も忘れません!」(田中圭一氏)

 田中氏がこう語るように、第1回のインタビューでは、新條先生の半生から『快感フレーズ』が爆発的な人気を得るきっかけとなった1コマ、さらには創作のバックボーンとなっている新條先生の恋愛遍歴にまで踏み込んでいる。マンガファン的には“読者アンケートを獲得するための手法”や“伏線は後付けか?”といった部分にも言及しているのは、とても興味深い。田中氏によるパロディーイラストによるまとめも、インタビュー内容を咀嚼した上で、面白おかしくまとめている。まさか新條まゆ先生が少女マンガ界の“●●先生”(田中氏のパロディー・レパトリ―にある大御所マンガ家)だったなんて……。

 マンガファンはもちろんのこと、1コマでわかる作品の魅力は面白いマンガを探している人に、踏み込んだ創作論はマンガ家志望者にとって有益なものなはず。今後の展開にも注目していきたい。
(取材・文/編集部)

■「わが生涯に一片のコマあり」
http://booklive.jp/feature/index/id/wagakoma

■田中圭一(たなか・けいいち)
1962年、大阪府生まれ。手塚治虫タッチのパロディーマンガ『神罰』がヒット。著名マンガ家のタッチで下ネタギャグを繰り出す作風が人気。近年では手塚治虫だけでなく、藤子・F・不二雄や松本零士など、そのレパトリ―を増やし続けている。近著に『あわひめ先生の教イク的指導』(ぶんか社)や『教えてっ!真夢子おね~さん』(小社刊)など。
twitter<https://twitter.com/keiichisennsei

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