タイトルは『ウルトラセブン』から拝借!悪ノリ特撮パロディ満載の傑作『県立地球防衛軍』が復刻

1312_kenritsu.jpg県立地球防衛軍 完全復刻版 1(小学館)は、カバー&第1話16P描き下ろし!

 1983年から85年にかけて「少年サンデー増刊号」で連載されていた『県立地球防衛軍』(共に小学館)の復刻版が、12月18日にリリースされる。

 本作は、作中では明言されていない九州のとある県(ヒントは作中に登場する「しいたけヨーグルト」、「スコープ鶴崎」など)を舞台に、世界制服を目論む電柱組と県立今津留高校に設立された「県立地球防衛軍」との戦いを描くギャグマンガだ。

 この作品を語る上でまず真っ先に挙げられるのが、登場人物やサブタイトルが『ウルトラセブン』などの特撮モノからインスパイアされている点。電柱組の大佐でヒロインのバラダギ(原瀧龍子)は、東宝の怪獣映画『大怪獣バラン』からパロディで、両親が「羽田空港で照明弾を喰らって死んだ」というのはまんま『大怪獣バラン』だし、同じく電柱組のチルソニアン将軍は『ウルトラQ』のチルソニア遊星人、マーカライト=ファープは『地球防衛軍』に登場した光線兵器のパロディ、というよりもそのまんまだ。ほかにも、サイボーグのインド人留学生の名前が、当時東洋水産から発売されていたインスタントラーメン「華味餐庁(かみさんちん)」から取ってカーミ・サンチンだったり、サブタイトルも『ウルトラセブン』の「ウルトラ警備隊西へ」→「県立地球防衛軍、海へ」、「ひとりぼっちの地球人」→「ひとりぼっちのインド人」のように、その時代だったからこそ許される、危うい内容だったりする。

 サブタイトルも語彙だけパロったのではなく、「サイボーグの脚線」(オリジナルは「サイボーグ作戦」)ではお色気を展開、「摂氏34度の退屈」(「零下140度の対決」)では真夏にとくにやることがなくだらだらする高校生の一日を描くなど、タイトルとリンクさせることも忘れない。このへんも、作者・安永航一郎の特撮ものへのリスペクトもたっぷりだ。

 さらに、秀逸なのが登場する“改良人間”たち。日本全国を正月気分にすることをたくらむ正月仮面、とろろ嫌いが災いし「ふるさとの味 怪奇とろろ男」になってしまった改良人間見習い、毒ガス(笑気ガス)攻撃を仕掛けるベンツ台村など、間抜けな怪人からちょっと(倫理的に)危ない怪人が登場する。ほかにも、悪事を察知する“まっする感覚”(「スパイダーマン」の危機察知能力のパロディ)を持つ、まっする日本や、鋼鉄の肝臓を授かり、桜前線と共に北上する元下戸サラリーマング怪人のグリコーゲンXといった内容の濃いキャラクターも見逃せない。

 86年には鶴ひろみ、古谷徹、玄田哲章、鈴置洋孝、池田秀一ら声優陣、忌野清志郎による主題歌、スタジオぎゃろっぷの制作でOVAも発売されるなど、アニメファンからも一目置かれる本作。特撮モノへの愛が溢れるパロディ、オマージュ満載で、未読の特撮ファンは必読の作品だ。

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県立地球防衛軍 完全復刻版 1
作者:安永航一郎
出版社:小学館
価格:480円

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