歌手・酒井法子完全復活! 30年来のファンが見た「30th ANNIVERSARYコンサート」

1609_sakainoriko.jpg芸能タレント事務所「オフィス ニグンニイバ」ウェブサイトより。

 みんなー! 俺たちののりピーが帰ってきたぞ!

 嬉しさのあまり、そう叫びたくなるような日だった。

 9月22日、ディファ有明で酒井法子の30周年記念コンサートが開催された。彼女がいわゆる「コンサート」を行うのは、実に16年ぶり。30年来のファンである私が、万感の思いを込めて参戦したのでレポートしたい。

 開場時間である16時前、時折雨の降るあいにくの天気の中、会場に着き、入場列に並ぶ。

 やはり40代ぐらいの男性が多いが、女性や若いファンもいる。また、後ろの方からは、中国語で会話する声も聞こえる。もしかすると、中国から来たファンなのかもしれない。

 中に入ると、ロビーではコンサートグッズに加えて、彼女がメインキャラクターを務めている化粧品も売られており、かなりのにぎわいを見せている。

 そんな様子を眺めながら、ホール内に入り、開演を待つ。会場内では、彼女の登場が待ちきれないかのように「のりピー!」「酒井さーん!」といった声援が上がっている。

 そしていよいよ、定刻の17時を少し過ぎたところで、コンサートスタート。流れてきたイントロは、デビュー曲「男のコになりたい」。

 いきなりのキラーチューンに、総立ちとなる会場。衣装は、シルバーのラメの入ったミニのワンピース。30年前の曲だというのに全く色あせない。そして今の彼女が歌っても違和感がない。発しているアイドルオーラが全く衰えていないのだ。

 全力で1曲目を歌いきって、続いては「渚のファンタシィ」。ここで古くからのファンはニヤリとする。この曲は彼女の2曲目のシングル。「さてはデビュー曲から順に歌うのか?」と思いながら、気持ちは一気にあの時代へと帰っていく。

 そして期待の3曲目「ノ・レ・な・いTeen-age」。キター! もちろん3枚目のシングルである。セットリストがそのまま、デビュー当時からのファンに向けての感謝のメッセージになっている。そして、早くも彼女の顔に汗が光る。昔から一生懸命歌っているところは変わっていないようだ。

 最初のMCでは挨拶に続いて、今日はファン投票で決定した人気曲ベスト30を全曲披露すると宣言。会場からも歓声が上がった。

 もちろん、作り手側が全体の構成を考えて選曲するというのもよいのだが、人気曲を全部持ってくるというのは何よりのファンサービスだ。この瞬間「おぉ、あの曲やあの曲も聴けるのか!」と嬉しくなった人も多いのだろう。

 そして、とにかく彼女の明るいトークを聞いていると、こちらまで気持ちが明るくなってくる。本当のアイドルというのは、こういう人のことをいうのだろう。

 MC明け一曲目は「DON’T STOP GENKI」。デビュー当時の彼女のウリでもあった「元気」をフィーチャーした、コンサートでの定番曲だ。これまで以上に盛り上がる中、サビのところで突然音が止まる。

 一瞬、会場が静まり返り、やがて客席から「のりピー! のりピー!」とのコールが上がる。その声が、合唱のようになったところで、曲がまた始まり、一層の盛り上がりを見せた。心憎い演出だ。

 とにかく、彼女自身も、スタッフも全力でファンを楽しませようという気持ちが伝わってくる。これこそがプロの仕事だ。

 そして、曲が始まって、曲名を思い出すまでの間に感じる、記憶の扉が開いていくような感覚。はっきり言って快感である。

 続いての「アクティブ・ハート」では、ダンサー2人を従えて激しく踊る。年齢を全く感じさせない動きは、さすがとして言いようがない。

 ここからは、メドレータイム。彼女のシングル曲をメドレーで歌うのだが、それらを繋ぐのは、なんと「のりピー音頭」。ファンならば誰でも知っているが、1988年に企画ものとして発売された曲である。人気投票には入っていたが、まさかこの場でこの曲が聞けるとは。

 しかも合いの手の「ぴっぴっぴっ! ぴぴんがぴっ!」の部分は、会場も一緒になって振り付けを踊るという演出。先のMCで「今日はお祭りだよ」と言っていたのが、現実味をもって感じられる。

 間に音頭を挟みながら「HAPPY AGAIN」「さよならを過ぎて」「イヴの卵」「誘われて…」「世界中の誰よりきっと」とヒット曲を続ける。意外にも、音頭での繋がりは心地よく、違和感なく聞けた。

 彼女の「ここからは座って見てください」という言葉に従い、客が着席する。

 MCで、今日のコンサートに向けて、ボーカルトレーニングをしてきたこと、肌の手入れなども大事にしてきたこと。スキンケア製品「ORIGAMI」のCMをやらせてもらったことなどを挙げ、改めてスタッフとファンに感謝の気持ちを述べる。

 ここからはじっくりと聞かせる曲が続く。

「PURE」「あなたに天使が見える時」「Here I am ~泣きたい時は泣けばいい~」「涙色」「横顔」。

 一度彼女は舞台袖にはけ、ステージ上ではバンドメンバーによるインストの演奏が続く。もちろん、全て彼女の曲だ。

 しばらくして登場した彼女は、可愛らしいピンクの衣装にチェンジ。「ALL RIGHT」で開場は再びヒートアップ。客席もまた総立ちだ。

「ダイヤモンド☆ブルー」「微笑みを見つけた」「ホワイト・ガール」。

 個人的には、彼女と一番相性が良いのではないかと思っている遠藤京子作品を続けて披露。改めて名曲が多いことを実感させられる。

 そして、春の高校野球で入場行進曲にもなった「夢冒険」、私が初めてキャンペーンを見に行った「GUANBARE」、オリコンで自己最高の2位を獲得した「1億のスマイル 〜PLEASE YOUR SMILE〜」。曲を聞くたびに、その頃の自分の思い出が頭をよぎる。

「Love Letter」「鏡のドレス」に続いては「涙ひとつぶ」「Truth~飛べない鳥よ~」と最近の曲を披露したところで、情報が入る。

 なんと、今日のコンサートが中継されている中国のサイトで、視聴者数が100万人を超えたとのこと。改めて、中国での彼女の人気のすごさを思い知らされる。

 最後のMC。

「コンサートが始まる前は、長いと思っていたが、始まってみるとあっという間だった。これからも手と手を取り合って生きていきましょう」

 その言葉の後で聞く「碧いうさぎ」は心に沁みた。

 これで本編は終了。当然アンコール、会場では「のりピーコール」が起きる。

 そして登場した酒井は、なんと海パン姿のマッチョ2人に抱きかかえられている。そう、曲はもちろん「渚のピテカントロプス」。歌詞にある「マッチョ」にちなんで、そのマッチョを従えて出てきたのだ。この辺の遊び心がたまらなく嬉しい。

「あなたが満ちてゆく」を歌った後は、「30曲歌いきったー!」と叫び、会場からも拍手が上がる。ラストの曲は「明日へつづくラストシーン」。

 コンサートが終わり、ステージ上のスクリーンには、彼女の自筆で「本当に、本当ーに みんな ありがとう」の文字と、彼女のオリジナルキャラクターであるのりピーちゃんの絵が映し出された。

 ああ、終わってしまった。

 30年、30年である。

 短い年月ではない、当然彼女にも、私にもいろいろな出来事があった。でも、彼女はアイドルでい続けたし、私はファンであり続けた。

 帰り道、早々にネットニュースになったコンサートの記事と、それに対する反応を見ていると、必ずしも好意的なものばかりではなかった。

 確かに、理屈ではいろいろな事情があることはわかる。

 しかし、アイドルとファンの関係というのは「理屈」などでは計りきれない、強くて重いものなのだ。

 それは「アイドル」という存在に救われたり、生きる希望をもらったりしたことのない人には分からないことかもしれない。ただ彼女がそこにいて、歌ってくれて、それを見ていられるというだけでどれほど幸福なことか。

 懐かしい、とか感動したとか、ありていの言葉にすれば陳腐になってしまう。

「30年間好きでい続けたアイドルが16年ぶりに開催したコンサートを見られた」という気持ちは、他に言葉が見つからないほど幸せなものだった。

 こんな気持ちを経験できる人、世界中探してもそれほどいないと思うよ。
(文=プレヤード)

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