『SHOW BY ROCK!!』にKIRIMIちゃん.擬人化……サンリオが手掛ける“オタクにも愛される”キャラクター作りに迫る!

 今月からショートアニメが放送されている『SHOW BY ROCK!!』など、昨今、アニメ好きの“オタク”からも支持されるキャラクターを生み出している株式会社サンリオ。ハローキティをはじめとする従来のキャラクターのイメージが強い同社だが、そこに共通するものはあるのだろうか。7月2日にサンリオピューロランドで行われた、「2016年サンリオキャラクター大賞」の現場を取材してみると、面白い仕掛けが見えてきた――

■「新しいファンをたくさん取り込んでいきたい」

1607_sanrio_01.jpg順位の発表を待つ、上位5位までにランクインしたキャラクターたち。

 毎年行われている「サンリオキャラクター大賞」とは、サンリオキャラクターの人気投票イベントだ。昨年は、1位のポムポムプリンに、テレビアニメの放送で人気が上昇していた『SHOW BY ROCK!!』のキャラクター・シンガンクリムゾンズがわずか35票差にまで迫り、その“オタク”の愛のパワーが注目を浴びた。今年は「みんなの力で、あの子を1位に。」をテーマに、スマートフォン上でキャラクターをなでると投票できる「なでる投票」、サンリオショップ店頭で投票する「チップde投票」などから集まった票で、ノミネートされた100組のキャラクターがその順位を争った。その投票総数は777万5,240票。投票方法が異なるので一概には比較できないが、先に行われた「AKB48 45thシングル選抜総選挙」の投票総数は325万5,400票なので、キャラクターを推すファンのパワーのすごさがどのくらいのものか、何となく想像していただけるに違いない。

1607_sanrio_02.jpg痛バッグのようなキャラクターを飾ったバッグを持つファンも発見。

 実際、いざ順位の発表が始まると、「え〜!」「お〜」「キャー!」と、会場に集まったファンの驚きの声やうれしい悲鳴が鳴り止まない。推しキャラクターのグッズを身に付け、自分の投票したキャラクターは何位なのか、ドキドキしながら見守る様子は、“国民的イベント”とされるAKB総選挙と変わらない姿があった。

1607_sanrio_04.jpg多くのファンが駆け寄り、2連覇を勝ち取ったポムポムプリンを祝福。

 さて、今年の結果は、ポムポムプリンが2連覇を達成。昨年2位まで上ったシンガンクリムゾンズは、8位と順位を落としたが、それでも従来のサンリオキャラクターを押しのけ、トップ10内にランクインしている点は、やはり“オタク”のパワーを感じるところだ。また、今回のサンリオキャラクター大賞では、KIRIMIちゃん.も順位を昨年の11位から9位へとランクアップさせている。KIRIMIちゃん.については、「擬人化プロモーション」が昨年9月からスタート。KIRIMIちゃん.の仲間がイケメンに擬人化され、代永翼など人気声優がキャスティングされた。KIRIMIちゃん.が順位を上げた背景には、こうしたプロモーションによって、新たなファンを獲得したことがあげられるだろう。

 株式会社サンリオ広報課の東松一男氏に取材をしたところ、こうしたキャラクターは、新しい層へサンリオキャラクターを知ってもらいたいということで生まれたという。

「“オタク”層というくくりで考えているのではなく、キャラクターに関心がある方々に楽しんでもらえるものを、どれだけ提供できるかということを考えています。キャラクターを楽しむという点では、サンリオピューロランドではコスプレイベントもやっていますよ。KIRIMIちゃん.についても、擬人化によって、従来のサンリオキャラクターのファンの方に加えて、今までそんなにサンリオのキャラクターに関心を持っていらっしゃらなかった、新しいファンをたくさん取り込んでいきたいというのがありますね。多くの人に楽しんでいただけるようなキャラクタープロジェクトを、たくさん提供していきたいです」(東松氏)

■キャラクターとファンの方のコミュニケーションを大切にしている

1607_sanrio_05.jpg「サンリオ男子」。

 そんなサンリオが送り出したキャラクターで、今、話題となっているのが、サンリオキャラクターが好きな高校生5人組の「サンリオ男子」。イケメンのサンリオ男子のファンになった女性に、各々のサンリオ男子が推している従来のサンリオキャラクターにも関心を持ってもらうというのがコンセプトだ。昨年11月に突然始まった5人の共同アカウントによるTwitterのフォロワー数は、2016年7月現在で18万人超え。今秋には、スマホ向け恋愛ゲームもリリースされるほどだ。今回のキャラクター大賞にはエントリーしていなかったが、「サンリオ男子はサンリオキャラクターを応援するキャラクターなので、そのキャラクターがエントリーしてしまうと、訳が分からなくなってしまうので、エントリーしませんでした。今後も、エントリーは考えていません」ということらしい。

 少し残念だが、キャラクターであっても、立場はファンと同じということなのだろう。確かに、サンリオ男子のTwitterでは、現実の時間とリンクし、サンリオキャラクターのグッズを愛用している5人の何気ない日常のツイートが見られる。実は、今回のサンリオキャラクター大賞でも、こうしたリアルにキャラクターが生きているという見せ方がうまいと感じたことがあった。ステージでは、上位にランクインしたキャラクターたちが呼ばれる場面があったのだが、ウィッシュミー メルが登場タイミングを間違えて、まだランキングを発表している最中にステージに飛び出してしまうというハプニングが発生したのだ。計算された演出なのか、本当にハプニングなのか定かではないが、こうしたリアルさが、キャラクターが生きていると実感させてくれる。

1607_sanrio_03.jpg名前を呼ばれたと勘違いして出てきてしまい、スクリーンを遮るウィッシュミー メル。

「すべてのキャラクターではないですが、サンリオでは会社としてではなく、キャラクター自身が自分の言葉を発信するTwitterを運営しています。そうしたキャラクターとファンの方のコミュニケーションは非常に大切にしていきたいです。Twitterをやっていないキャラクターもいますが、ぜひサンリオのキャラクターの公式Twitterをご覧いただきたいです。ホームページにはキャラクターのプロフィールもたくさん載っていますので、そうしたものを観て楽しんでいただけたらなと思います」(東松氏)

 キャラクターとファンが同じ時を生きているという捉え方は、2次元のキャラクターの誕生日を祝う“オタク”の性質とも共通するものがあるように思える。『SHOW BY ROCK!!』のキャラクターたちも、KIRIMIちゃん.の擬人化プロモーションも、サンリオ男子も、一見するとこれまでのサンリオのキャラクターと違うように見えるが、根底にあるキャラクター愛は変らないのだ。
(取材・文/桜井飛鳥)

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