「ほぼ自分の会社なのに…」 さいとう・たかを作品、不可解な“無断間引き”にファンも困惑

1506_reed.jpgリイド社公式サイトより。

 貸本マンガ時代に“劇画”という分野を確立した人物のひとりであり、1968年より続く『ゴルゴ13』で知られるマンガ家、さいとう・たかを氏。同氏が1995年から1997年まで連載し、単行本化もされた『ブレイクダウン』(共にリイド社)がコンビニコミック化の際に無断で間引きされ、意味不明な作品になったことが話題を呼んでいる。

 問題の発端となったのは、リイド社が同作をコンビニ限定の長編コミック上・下巻として発行。しかし編集の際に、本来は約1400ページの作品を、さいとう氏に無断で約400ページ分を間引きしたため、突如登場人物が姿を消したり新しい人物が登場したりと、内容が理解できないものになってしまった。

 このことを知ったファンからは「中巻入れろよ」「上・中・下、3冊で出すと採算が難しいから、ページ数減らしたのか」と“中巻”を求める声や、「本にする段階で、ページ数をミスったのだろう」「編集段階で内容を確かめないのか」など、編集の仕事を疑問視する声が上がった。

 そんな中、とりわけ多かったのが、“リイド社とさいとう氏”の関係性を指摘する意見。「リイドはほぼ、さいとう・たかを自身の会社なのに…」「リイドは“たかを出版”」といったように、リイド社は、さいとう氏と深く関係している。

 リイド社は、劇画製作スタジオ「さいとう・プロダクション」(以下、さいとう・プロ)の出版事業部がスピンオフという形で、1974年に創業された。同社の代表取締役を務めるのは、さいとう氏の兄・斉藤發司氏である。創業以降、さいとう・プロ制作の劇画は、たとえ他社で連載されている作品であっても、単行本化・再刊作品の大半がリイド社から「SPコミックス」(SP=さいとう・プロ)として出版されているのだ。

 作者と出版社が“兄弟”としてコンビを組んでやってきた中で発生した、今回の“間引き”騒動。リイド社はさいとう氏側に謝罪し、同社ホームページ上に間引いた部分を無料公開。読者にも「大がかりな省略は、著作権者の了解を受けなければならなかった。作家側と読者には迷惑をかけた」と謝罪している。仲直りできたのかは不明だが、マンガ界を支えてきたさいとう氏が、今後も気持ちよくマンガを描き続けてくれることを願いたい。

ブレイクダウン 1巻

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