リアリティがケタ違い!“その道の専門家”が描いた話題のマンガ3選

■作者は(元)甲子園球児!『BATTLE STUDIES』

 新人マンガ家なきぼくろ氏は、高校野球の超名門・PL学園野球部の出身。甲子園にレギュラー出場した経歴をもつ変わり種だ。デビュー作『どるらんせ』でMANGA OPEN奨励賞とeBook Japan賞を獲得し、2015年初頭から『BATTLE STUDIES』を連載することが決定している。現在はこちら(http://www.ebookjapan.jp/ebj/special/mangaopen/index.asp)で読み切り版の無料閲覧が可能だ。

『BATTLE STUDIES』は高校1年生の野球部員・狩野 笑太郎を主人公に、甲子園出場のため強豪校で想像を絶する日々を送る様子が描かれている。PL学園をモデルにしたDL学園の生活はさぞやトレーニングまみれだろうと思いきや、本作で大半のページを費やして描かれているのは異常なほど厳しい“上下関係”だった。パシリや食事の世話は当たり前。笑顔は禁止。どんな要求にも「ありません」「できません」禁止。返事は常に「はい」「いいえ」のみ。ルールを破れば肉体言語によるしつけ(体罰)が待っている。読む前の想像をはるかに超えた衝撃の内容だった。

 とはいえ全体を通して読むと悲壮感はなく、むしろ一般的なスポ根マンガとは別種の爽快感すら漂う。寮では横暴で理不尽だった上級生たちはまぶしいほどのカッコ良さをグラウンドで魅せ、1年生である自分のがんばりも認めてくれる。野球を通じて思う存分に自分を表現できる楽しさが、コマからあふれ出ているようだ。作者自身もこの作品を「別に暴露話ではない」と話しており、PL学園での生活を「最高の財産です!!」と振り返っている。卓越した画力に元球児ならではのリアリティ、そして野球漬けだった日々への愛着……連載スタートする前から非常に期待がもてる作品だ。

 なお、なきぼくろ氏が奨励賞を受賞したMANGA OPENの第34回は、あの世界中に話題を振りまいた原発ルポタージュマンガ『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』が大賞を獲得した回でもある。かたや元高校球児が描いた“高校野球マンガ”、かたや原発作業経験者が描いた“原発ルポマンガ”――奇しくも同じ賞で“現場を体験した者のマンガ”が揃って受賞するという興味深い結果となった。先に紹介した『大使閣下の料理人』も含め、こうしたカテゴリでは「モーニング」系列の作品が今後も強みを発揮していきそうである。
(文/浜田六郎)

大使閣下の料理人(1)

大使閣下の料理人(1)

めごっち、期待してるよ!

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