村田らむ的2014年のマンガ選!

虫に取り憑かれるコミュ障の『ムシヌユン』から転生して罪を償い続ける『懲役339年』まで!2014年良マンガ

 世間では、今年も『このマンガがすごい!2015』(宝島社)が発表され、話題となっている。そんな中、去年に引き続き、今年読んで個人的に“すごい!”と思ったマンガを、独断と偏見で紹介させていただきたいと思う。

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 まずは『ムシヌユン』(都留泰/小学館)。

「昆虫博士」になることを夢見る主人公が、夢破れ故郷の日本最南端の島へ帰ることになる。その島は、世紀の天体ショーを見ることができる日本唯一の場所であり、観光客が大勢訪れ大いに盛り上がっていた。そこで、主人公は初恋の女性と再会して。
 ……なんて書くと、普通のマンガのような感じがしてしまうけど、全然違う。主人公はコミュニケーション能力が欠如した、卑屈な青年。虫に取り憑かれているが、結果、本当に虫に取り憑かれてしまう。夢か現か。巨大球状星団。南国。虫。異様なる器官。セックス。読めば読むほど、話がどこに向かっているのか、何が描かれようとしているのか分からなくなる。しかしこれが面白いのだ。やみつきになってしまう。でも、面白さを伝えるのが、とても難しいマンガなのである。


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 2冊目は、『あれよ星屑』(山田参助/エンターブレイン)。

 こちらは第二次大戦直後の東京を舞台にした物語だ。1巻では、軍隊仲間の川島徳太郎と黒田門松の出会い、そして戦後の生活を描く。続く2巻では、過去にさかのぼり軍隊時代の話が描かれた。

 RAA(特殊慰安施設協会)の話、闇市での食料確保、“パンパン”(街娼)をして暮らす女性たち、刺突訓練、斬首……。

 歴史をとても詳しく調べて描かれていると思うが、ただその史実を資料的に並べているわけではない。生身の人間が戦争で生き、戦後に生きた、その匂いが漂ってくるような作品だ。スッキリしているのに、とても濃い、本当にいい絵だ。絵を眺めているだけでも、しばらく飽きないと思う。


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 3冊目は『大金星』(黒田硫黄/講談社)。

 作者・黒田硫黄の『茄子』は本当に好きな作品である。1話目を読んだ時に、ガンッと頭を殴られたような衝撃を受けた。逆立ちしたって思いつかない、とても素晴らしいストーリーだった。読んでいない人は今すぐ本屋に行くか、電子書籍でダウンロードして読むように。

 そんな黒田硫黄の短篇集である『大金星』では、、その中の1作品に『茄子』のスピンオフ作品が収録されている。ジブリでアニメ化もされた『アンダルシアの夏』の主人公ペペ・ベネンヘリの兄、アンヘルの物語だ。『茄子』のファンは絶対読まにゃならぬ作品である。

 ほかも、黒田硫黄らしい、荒々しくも気持ちの良い作品が揃っている。例えば『ぶどうの丘』は8ページの短編だが、離婚したあとの、スッキリしたような虚しいような雰囲気がよく描かれていたと思う。バツイチの僕が思うんだから、たしかだろう。

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