姫乃たまの耳の痛い話 第16回

引きこもりからコスプレイヤー、そして“脱げる女の子”へ……なんとなく進んだ先で少女が見つけた答えとは?

 浮かれていた彼女は、とある男性カメラマンから「君なら有名なコスプレイヤーになれるよ」と声をかけられました。出版社や有名なコスプレイヤーに顔がきくという男に連れられて、彼女はコスプレ広場を抜けてデジタル写真集の即売会へ行きました。初めて見る即売会はものすごい人ごみでした。自分と同じようなコスプレをしている女の子に、行列ができています。
 写真集が1枚2000円だとして、あの行列の人が1枚ずつ買ったら……

 彼女の頭の中は、「タバコ臭いメイド喫茶で働いてるみんなよりも簡単にたくさん稼げる」という思考でいっぱいになりました。それからは、「有名なコスプレイヤーにプロデュースしてもらって、出版社に売り込みに行ってあげるからね」という男の元で、撮影の練習を重ねました。写真を撮られるのは単純に気持ちよく、衣装は男が用意してくれるので、準備など面倒なことが苦手な彼女にはぴったりだったのです。

 しかし、彼女とカメラマンの関係は唐突に終わります。ある日、いよいよ男に連れて行ってもらった出版社でヌード撮影を強要されたのです。

 彼女が断ると、編集者たちはみんな困った顔をしました。男から「脱げる女の子連れてくるから」と聞かされていたからです。そういえば、男との撮影もいつの間にか、衣装やポージングが過激になっていました。しかしそれは、回数を重ねるごとに、あまり気にならなくなっていたそうです。「しかも有名なレイヤーに顔がきくとか言ってたけど、ただのファンで、顔覚えられてただけだったんですよ。あり得ないですよね」と、彼女はふくれていました。

 目の前でふくれている彼女を見ながら、これは闇だ、と思いました。今、私はありとあらゆるネガティブイメージを集約した女の子と対峙している……。

 私は彼女に、これからどうしたいのか質問しました。

「引きこもってた時期があるから、これからの人生無駄にしたくないっていうか、面白いこと以外したくないですよね」と、無邪気な答えが返ってきました。

 5年間、地下アイドルとして活動してきて、出会ったことがない巨大な闇にぶつかった私は、親戚の子どもたちが怖がっていた都会の闇というのも本当に存在するかもしれないと思い、新宿で慎重に乗り換えて、下北沢まで帰宅したのです。

●姫乃たま
1993年2月12日、下北沢生まれ。日本の地下アイドル。2009年より都内でライブをする傍ら、ライターとしても活動を開始。イベントの主催や、司会、モデルとしも活躍している。全曲ボーカルをつとめたFriendlySpoon「フレスプのファーストアルバム」絶賛発売中。

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超絶綺麗な子だけのコスプレ写真集

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