本当に悲しいことは何だろう?──アイドル刺傷事件の重大さと、犯人が奪っていったもの

 そして、これはより具体的な話になるが、握手会やチェキ会といったいわゆる「接触イベント」の減少だ。

 2年前、岩手で起きたAKBメンバー襲撃事件。

 あのときを境に、アイドルのイベントは明らかに変わっていった。

 ライブ会場への入場時の手荷物チェック、握手やチェキ撮影のときには持ち物を預ける、といったオペレーションの変更。

 中には握手は行わず、ある一定の距離を置いたところから話をする「お話し会」になってしまったところもある。

 別に握手にこだわらずとも、好きなアイドルとコミュニケーションが取れればよいとは思うが、お互いに手を握り目を見て話をするというのは、ファンにはたまらない幸福感を与えてくれるものだ。

 外国でどの程度行われているかはわからないが、握手会というのは日本が生んだ大きな文化の一つだと思っている。

 それが衰退していくとしたら、残念なことこの上ない。

 最後に、ある意味ではこれが一番悲しいことなのだが、アイドルというのが「危険な職業」と認識されてしまう恐れがあるということだ。

 昨今のアイドル文化の底上げにより、世の中での認識はだいぶ変わっていった。

 昔は「アイドル?」と少し蔑まれて見られていたようなものも、ようやく一つの職業として認知されてきたのだ。

 それが今回の事件で「危険なもの」というレッテルを貼られたらどうなるだろう。

 おそらく、アイドルと、そのアイドルを夢見る少女、アイドルという夢に挑戦する人たちが減少する可能性がある。

 例えば、「アイドルになりたい」という強い思いを持っていて、実際に才能もある女の子がいたとしよう。今まではその夢を応援してくれた父親や母親が、手の平を返したように「危険だから」と言って、その芽を摘んでしまうことだってありうるのだ。

 そんなふうにして夢をあきらめなければならない少女がいるであろうことを想像するだけでつらい。

 そして、もしかしたらアイドルとファンという形で出会えたかもしれないのに、その運命が絶たれたこと、アイドルになろうという人が減って、ここまで盛り上がってきたアイドルシーンが縮小していくこと、考え出したらきりがないが、いずれも決して可能性がないことではないのだ。

 今回の犯人が、どんな思いで好きだったアイドルを傷つけたのか、それはまだ分からない。

 しかし、彼が起こしてしまった事件の影響はとても大きく、そして犯した罪は、かくも重い。それだけは十分に認識してもらいたい。
(文=プレヤード)

Secret girls (通常盤)

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ご回復を心よりお祈りします。

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