「地雷持ちのオタク」はDV、虐待、モラハラ加害者と脳内が似ている? 当事者に聞いた!

■地雷持ちは、あえて地雷を自ら踏みに行き、爆発したと大騒ぎする

中村 さらに、脳内地雷が多い人は「地雷を回避できず、自分から踏みに行ってしまう」特徴があります。

 たとえばTwitterを使っている限り、「逆カプ」好きによる、自分の推しカプに対するディスを見てしまうことはありますよね。

――「雑食だけどA×Bだけはまじ無理、うっかり被弾して吐きそう」みたいな。結構遠慮のないディスはいっぱいありますね。

中村 そういった自カプのディスを見れば、誰であれ多かれ少なかれショックを受けるものです。ショックを受けること自体は仕方のないことであり、問題ありません。

 ですが、頭の中が地雷でいっぱいな人は、それが自分に直接向けられたものではない「単なる愚痴つぶやき」であってもショックのあまり、防衛行動に走ってしまうんですね。脊髄反射でその人に攻撃的なリプを送ったりとか。

――もう少し気の弱い人だと「推しカプがディスられて傷ついた……」「ツラい……」といつまでも自分のタイムラインでつぶやいてるケースもありますね。

 推しカプディスを見たときにすぐ発言主をミュートなりブロックなりして、「あー気分悪い発言見た、可愛い推しを見て癒やされよう」とすることだってできるはずなのに、それをせず、いつまでもディスられたことを考えていたり、ディスり返しての無限地獄に行くというのは「自ら地雷を踏んでいる」と言えますね。

 

■地雷のことばっかりこんなに考えたくない! という人に大切なこととは?

――でも、地雷をこじらせイライラしている人だって、好き好んでそうしているわけでもないですよね。自分の地雷ともうちょっと上手に付き合いたいオタクはどうしたらいいでしょうか。

中村  地雷持ちをこじらせてしまったオタクの人は「推しカプが好きな自分」にアイデンティティを振り過ぎてしまっていると言えます。DV、モラハラ、虐待加害者は「家族の一員である自分」にアイデンティティを振り過ぎていると言えますので、ここもとてもよく似ているんです。

――オタクは「私=オタク」、DV、モラハラ、虐待加害者は「私=家族を支える、家族を導く」ということに心の円グラフがすべて埋まっているような状況なんですね。

中村 そのように自分のアイデンティティを、何か一つのことにだけに「全て」振ってしまうのはその対象が何であれ、危険です。

――アイデンティティをひとつのものに振り過ぎているから、そこで何か問題が発生すると自分の足元が総崩れになってしまうという恐怖を過剰に感じ、激しい怒りなどの極端な反応が出てしまうんですね。

中村 ですので、自分の依存について、ドラゴンボールのスカウターのように数値化して、対象を何か一つにぶつけないことです。分散することが大切です。分散ができるほど、推しカプディスに対しても無用に攻撃的にならずに済む、かもしれません。

――全てのオタクが円グラフのすべてが「オタクの自分」一色ではそもそもないですよね。「家族としての自分」「友達としての自分」「働く自分」「学生の自分」「オタク以外の趣味をする自分」「ラーメンにはちょっとこだわる自分」など、「オタクの自分」じゃない自分がすでにいるはずです。あるはずの他のアイデンティティを軽視し、大切にできていないことに問題があるように思えます。

* *

 以前、熊代亨氏の書籍「『若者』をやめて、『大人』を始める」のレビュー記事を書いた。

【記事参照】35歳以上の中高年が「オタ活」を楽しむための秘訣とは?『「若者」をやめて、「大人」を始める』レビュー

 こちらの書籍でもオタ活についての記載があるのだが、「アイデンティティがオタク全振りするのは危険だ」という点は、今回の中村氏の指摘と共通している。

 しかし「オタ活超楽しい」と一点の曇りもなくオタ活を満喫している人に対し「アイデンティティオタク全振りは危険だ」という指摘は馬の耳に念仏だろう。しかし一方で、オタ活とて人生と同様、いつでも絶好調とはいかず、山もあれば谷もある。「オタ活クライシス」だってやって来るのだ。

 今回の例で挙げた「地雷をこじらせ毎日呪詛をつぶやいている状態」はオタ活クライシスとしてもかなり重篤なケースだが、そこまでいかなくとも加齢によるテンションの低下、公式や神や推しのご乱心、オタ活の人間関係での疲労、そして、一生好きだと思っていたばかりの推しになんとなく飽きてきて次の推しが見つからないなど、ダイヤモンドより堅いと思っていたはずのオタ活の足元がいきなり砂になって崩れていくことはあるのだ。

 ほんとはもう楽しくないのに培った人間関係を失うのが怖くて、周りに合わせ楽しい“フリ”をしているオタクを見ると、オタク活動で自分を偽るのはつらすぎないかと心が痛くなる。オタ活だって実際の人生同様に波がある。最近のオタ活はヘルシーじゃない、楽しくないな、とふと思ったときに、この原稿を思い出してもらえると幸いだ。

 後編でも引き続き中村氏に、今度は身近な「オタ友」との間に解釈違いが生じたら、をテーマに話を聞いていく。

(文/石徹白未亜 [https://itoshiromia.com/])

 

◆石徹白未亜の過去記事はこちら(【おたぽる】【日刊サイゾー】)から◆

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