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「“家族”というテーマは変わってない」『東京残酷警察』『ヘルドライバー』西村喜廣監督が挑む“アクション映画”『虎影』

2015.06.19

■「みんなが楽しめる」ために意識したレイティング それでも、にじみ出る個性

映画虎影公式サイト。

――今回、驚いたんですが、血しぶきなどのゴア描写の印象が強い西村監督作品なのに、『虎影』は映倫の審査を通って、レイティングが「G」(どなたでもご覧になれます)というのがすごいですよね。 西村 最初は「PG12」(小学生には助言・指導が必要)を狙っていたんです。撮影してる時も、それ(PG12)は覚悟していて。それで、同時期に実写映画『進撃の巨人』に参加していたので、樋口真嗣監督に“時代劇のレイティング”について相談したんです。「(2012年に樋口監督が共同監督を務めた)『のぼうの城』で、槍で首をはねるシーンがあって、あれだけで『PG12』になりそうだったよ」と聞いていたので。でも、「時代劇はゆるいよ」と言っていて(笑)。「全員日本刀を持っているけど、『あれは歴史的事実だから、しょうがないことだ』って、映倫も思ってるだろう」と教えていただいたんです。 ――それで、『虎影』オープニングの盛大な血しぶきも大丈夫だったんですね。 西村 いや、あれはイメージシーンですから(笑)。 ――レイティングに関して意識されたということですが、それでも、西村監督テイストのビジュアルも散見されます。たとえば、壺から頭だけが出ている“壺女”とか、強烈なビジュアルですよね。 西村 でも、血は出てないでしょ(笑)。血は出さなかったんだけど、あのビジュアルは一度見てみたかったんです。壺からはみ出した部分はわざわざCGで消してます。 ――壺女やラバースーツといった怪しげな雰囲気は、『東京残酷警察』と共通の香りがしますね。そういった部分が西村監督のオリジナルなイメージなのかな、と思いました。 西村 それはあるかもしれない。虎影の家族愛を囲むように、どんどん奇妙なものが出てくるという(笑)。 ――レイティングをクリアした上で、西村監督の個性である異形の者たちをしっかりフィルムに映し込んでいるのがすごかったです! 西村 ごまかしごまかしやっても、(自分の色が)こぼれてきちゃってますね。 ――ずっとオリジナル作品を作られてますが、次回作もやはりオリジナルになるんでしょうか? 西村 いろいろな枷があったとしても、僕の世界観もオリジナルならばきちんと描けるだろうし、企画はオリジナルでやりたいですね。  実際、映画『虎影』では、血しぶきはほとんど皆無。激しい忍者アクションで埋め尽くされながらも、そこかしこに西村喜廣監督のオリジナルなビジョンが垣間見える、なんとも贅沢な映画に仕上がっているのだ。ぜひ劇場で西村喜廣ワールドを堪能していただきたい! そして、6月21日(日)はなんと西村喜廣監督×園子温監督のトークイベントも緊急決定。詳細は新宿武蔵野館(http://shinjuku.musashino-k.jp/)で。 (取材・構成/加藤千高) ■映画『虎影』公式サイト http://www.torakage.com/

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