「“家族”というテーマは変わってない」『東京残酷警察』『ヘルドライバー』西村喜廣監督が挑む“アクション映画”『虎影』

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6月20日公開の映画『虎影』西村喜廣監督。

 鮮血のイリュージョン、とにかく綺麗な綺麗な血しぶきを上げる人。それが、西村喜廣監督の第一印象だった。筆者が最初に西村監督の名前を知ったのは、井口昇監督の映画『片腕マシンガール』(2008年/特殊造型監督を担当)の、あの雨のように舞い降る血糊だった。すさまじくも美しく、大量の血糊に魅せられてしまった。そして、自主制作映画『限界人口係数』(1995年)をベースにリブートされたのが、初の単独監督作『東京残酷警察』(2008年)だ。血しぶきに塗れて、人体変容者がごろごろ登場する美術設定や世界観は、その後の西村喜廣監督作品に共通の香りでもある。共同監督として参加した『吸血少女対少女フランケン』(2009年)『戦闘少女 血の鉄仮面伝説』(2010年)でも血しぶきを上げまくり、我々の期待に応えてくれた。続く『ヘルドライバー』では、西村監督流のゾンビ映画(まさに肉弾戦!)を生み出した。  そんな特殊メイクと血の魔術師・西村喜廣監督の最新作が、今月20日から公開される忍者映画『虎影』である。俳優・斎藤工を主役に据えた“忍者アクションもの”の本作も、さぞかし激しい作品になっているに違いないと思っていた。ところが、そんな素人の予想はまったく違う方向で裏切られた。なにせ『虎影』は映画倫理委員会(映倫)区分「G(どなたでもご覧になれます)」の作品なのだ。なんでこうなった? そんな疑問を素直に聞くことから、西村喜廣監督のインタビューは始まった。 ――本編を観る前に予告編や公式サイトを見て、“むちゃくちゃカッコいいアクション映画”という印象でした。それに、西村監督作品ということで「血しぶきが上がりまくりなんだろうなあ」と想像していたんですが、本編は違ったテイストで、これまでの西村監督の作品を観てきた者としては、正直戸惑いました。 西村喜廣(以下、西村) 冒頭で、(コメディチックに)手裏剣の説明とか始めてたじゃないですか(笑)。だから、『虎影』は“アクション”であり、“コメディ”であり、主人公・虎影の“家族の物語”なんです。 ――西村監督の『東京残酷警察』や『ヘルドライバー』と同じ匂いの部分と違うものを提示されて、どぎまぎしたというか。 西村 今までスプラッターやホラーだった部分が、今回は忍者アクションが中心になっているからかもしれません。最初のコンセプトとして、「家族そろって観られるようにレイティングを抑えよう」というのがあったので、なおさら印象が変わったんじゃないですかね。  でも、今までの作品も“家族の物語”なんですよ。“家族”というテーマは変わってない。今までは「みんなが楽しめる」というよりも、「みんなで観れない」という作品だった(笑)。「『虎影』はみんなが楽しめる映画にしたい」。そういう想いが最初からずっとあったんです。 ――確かに、今までも父親と娘、母親と娘という“家族”が、西村監督作品の中心にありますね。 西村 『東京残酷警察』は娘と実の父と育ての父の物語なんだけど、先に「警察が民営化したらどうなる?」っていう話が大きくなっていった。リストカットのCMとか、警察のCMとか、社会的な批判をたくさん盛り込んだものだから、父親と娘の物語の影が薄まっちゃったんですね。 『ヘルドライバー』はすごくヒドいお母さんに育てられた娘がいて、お母さんがゾンビの女王になっちゃった。そのお母さんに自分の心臓を奪われた娘が、心臓を取り返しに行く物語。ゾンビでできた巨大な飛行機の翼の上で、親子が殴り合う。壮大な規模で家族……というか、親子ゲンカをさせたかったんです。  それで、今回の『虎影』は、家族を助けるために右往左往するお父さんの物語を考えた。

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