『夏の色のノスタルジア』読ませるストーリーとエロの傑作!減少しつつあるシナリオゲーでエロゲー界に一石を投じる
2014.12.18
■『夏ノス』はCGのクオリティの高さも売り!
――原画担当のやまかぜ嵐さんにお聞きしますが、今回はこだわったポイントがあったそうで。
やまかぜ嵐(以下、やまかぜ) はい、今回は立ち絵の塗りを変えてみました。最初は普通の立ち絵を描かせてもらったのですが、恋純から「これじゃ面白くない」と言われてしまいまして(笑)。そこで逆光をイメージした立ち絵を描かせてもらったのですが、完成を見てみたら、これまでとはまったく違う印象になりましたね。できあがりを見て自分では「いいな」と思ったんですが、そう感じているのは自分だけなんじゃないかという不安もありましたけれど(笑)。今までやってなかったものを作って、それを評価してもらうというのはやっぱり怖いですよね。
恋純 基本的にほかのメーカーさんは、こういう描き方をしていないと思います。ただ、今回は作風もシリアスなので、立ち絵から「心の闇」の部分も意識してもらえたらなと逆光でのチャレンジに踏み切ったんです。
やまかぜ ずっと同じことをやっていても先には進めないという気持ちもありましたし、いろいろなことができた方が楽しいですからね。
――そんな中で、やまかぜさんオススメのシーンは?
やまかぜ 見てもらいたいシーンはたくさんあるのですが、全部が思い入れあって絞りきれないんです。
恋純 というのも、今回はやまかぜがほとんどのCGを監修していますからね。その分、クオリティの高さは保証できます。
――一般ユーザーが勘違いしそうな部分なのですが、実際は原画家がすべてのCGの監修を務めることは少ないんですよね。
恋純 原画はクレジットに載っている原画家がすべて描いているのですが、CGに関してはCG担当の者が描くという場合が普通なんですよ。なので、キャラクターデザインをした者が全部のCGを監修するということは少ないんです。ですが、やっぱり原画家が統括した方がイメージどおりの絵ができあがるので、今回はそういった手法を取り入れてみました。
――気になる絡み(エロ)シーンは?
呉 制作者側の「義務的」な絡みではなく、「必然」の絡みというのを意識しています。
恋純 シナリオ重視というと、どうしても絡みシーンが薄くなりがちなのですが、『夏の色のノスタルジア』に関してはそこをうまく取り入れて、なおかつボリュームも意識して制作しました。
呉 プレイに関しては弊社でいうとCherryラインとは違って、あまりコアなものはなく、普通です(笑)。ただし今、恋純からあったように内容は厚いですよ。1キャラにつき10枚のCG、4人ですから合計CGは40枚になります。回想数でいうと5シーンは確実に用意させてもらいました。
――原画的な話としてはもうひとつ。今回は絵柄も少し変えてきましたよね?
やまかぜ 「これまでの絵柄だと特徴がないのでは?」という意見もありまして、今回は目の感じ、そのほかのディテールに変化を付けています。その分、顔を描くのには時間がかかりましたけど。
――いろいろなキャラクターを描き分けるコツもあるのでしょうか?
やまかぜ コツは、とにかく描くこと。描いている途中で最初と顔が変わってしまうこともあるので、そこは僕も注意しています(笑)。なのでCGに関しても、キャラクターの表情が崩れないように注意して監修しました。