「電子書籍版YouTubeをめざす」Jコミが大幅バージョンアップ!「絶版マンガ図書館」発表記者会見

2014.07.10

 さらに、絶版となっている作品の中には、古書店やオークションでもほとんど出回らないものもある。電子化も、出版社が営利企業である以上は売れそうな作品から電子化していく。出版社は、「派手に打ち切った作品」や「最終巻だけ出さなかった作品」をほとんど電子化しない。また、3年間売り上げゼロのタイトルは、管理費が売り上げを上回るために削除されることもあるし、電子書籍ストアが閉店することもある。

 もうひとつ、著作権法の改定により「電子の出版権」が義務化されたが、結果として出版社も作品の売れる・売れないの判断が、さらに厳しくなると見られている。

 こうした事情から、マンガ家も電子書籍を歓迎しているとは言い難い。これらの問題をまとめて解決する方法が、絶版マンガ図書館なのだと赤松氏は語る。

 絶版マンガ図書館によって赤松氏が目指すのは、電子書籍版のYouTube。「これが、キモ」だと、赤松氏は話す。そのシステムは画期的だ。

 まずAという絶版マンガがあるとする。これを読者がアップロードすると、Aが絶版か否かを自動アルゴリズムで判定する(最後は人間が確認)。絶版であることが確認されれば「サンプル」などの透かしを入れた上でランダムな5ページを公開し、作者からの連絡を待つ。作者からの許可が得られたら、Aが公開されることとなるのだ。また、作者の依頼によってKindleへの登録代行や海賊版にダメージを与えるための処置も行われることになる。

 同時に行われるのが「マンガ専門wiki」とデータベースの作成だ。これまで、Jコミで公開されている作品は、赤松氏が自分で調べて解説を記していたが、これを廃止して読者や作者自身が作品情報を書き込むスタイルを取ることになる。

 まさに画期的なサービス。これに加えて新たな技術を導入して「マンガ全文検索」も投入される。これは、吹き出しの中の台詞を自動的に検知するシステムだ。これを利用すれば、読書中に台詞に関連した商品が買えたり、特定のワードからオススメの電子書籍がレコメンドされるようになるのである。加えて、登録されたセリフを翻訳して海外でリリースすることも可能だという。

「出版社は精度を重視するので、こういうサービスを嫌います。うちはそういうことはないので、どんどん進めていこうと思います」(赤松氏)

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング

PICK UP ギャラリー