マンガ家は儲からない!? 悲痛な声が叫ばれる中、マンガ家が“希望ある”年収を公表!

2014.06.17

押川雲太郎公式ブログ「押川雲太郎の万事いいかげん」より。

 憧れの職業のひとつであるマンガ家。だが、最近マンガ家の悲しみの声が相次いでいる。先日、コミカライズ版『新世界より』(講談社)の作者・及川徹が、原稿料だけでは赤字なので値上げ交渉をしたところ、拒否されてしまったという事例(参照)もあったが、その後、及川徹は自身のTwitterの当該ツイートを削除し、連載開始前にお金のことは話し合いをすることになったと報告した。また、担当編集者とは喧嘩をした後も打ち上げで談笑するほど仲が良いので心配ないということや、某出版社で新作を執筆するかもしれないとも知らせていた。

 それに続いて、6月13日にも『デスペナ』(講談社)の原作者・押川雲太郎が自身のブログで『デスペナ』の打ち切りを報告し、「今の出版界はかなり厳しい状況にある」と綴った。そして、マンガ雑誌は雑誌だけでも利益が出ていた時代があったが、今は雑誌自体の売り上げはほとんど赤字で、単行本で利益を得ていることに言及。また、打ち切り作品は、掲載誌上での人気ではなく単行本の売れ行きで決められていくとし、『「デスペナ」は1巻の売り行きが悪くその時点でほとんど連載中止が決定した』ということも明かした。

 押川もブログの最後に「それにしても、こういうさびしい記事ばっかりだね…」と言うとおり、前出・及川徹の“原稿料だけでは赤字”の件、押川の“単行本の売り上げで打ち切り作品が決まる”という話が相次いで話題になった。

 一方、そんな暗い雰囲気を打開するかのように、『ゆりてつ 私立百合ヶ咲女子高鉄道部』(小学館)の作者・松山せいじが6月15日にTwitterでマンガ家の給料事情を公表し、マンガ家志望の者たちに希望を与えたことが話題になっている。「僕はプロに成れました。まだなんとかプロの世界に生き残ってます。仕事の多い年は普通に3000万4000万の売り上げもありました」とツイートすると、平成20年度の確定申告書の写真をアップした。収入の欄にはなんと約4200万の数字が。この年収は、携帯マンガが人気絶頂期だった当時に「ケータイ★マンガ王国」で青年向けラブコメマンガの『ぶっ☆かけ』を連載していたことが理由だと語っているが、ほかにも翌年の税金で苦労したことも明かしている。また、「たくさん仕事をやれば(年収)1000万くらいはいけるんじゃないかと思います」とした。

「最近漫画家さんの貧乏自慢が多く夢が無いみたいな風潮なので」と松山も言うとおり、最近マンガ家の暗いニュースが続いたが、この夢のような数字に少なからず、希望を持った者も多いようだ。“出版不況”といわれる中、『進撃の巨人』など、爆発的なヒットをする作品もあるし、松山せいじのように、雑誌や単行本以外のフィールドで稼いでいるマンガ家もいる。Webコミックでも収益が得られるようになるなど、時代とともにマンガ家の生き残り方も変化しているといえるだろう。マンガ業界のビジネスモデルの変化と合わせて注視していきたい。

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