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「人は死ぬし、死んだ後には何もない」クリスチャンになれなかった山本直樹の信念

2013.10.10

――『ビリーバーズ』の場合、信仰心と性欲が矛盾していない女性を描いていましたが、『レッド』の赤城のイデオロギーと嫉妬心が矛盾しないところが、似ているようにも見えますね。

山本 そこはあまり考えていませんね。赤城は、確かに嫉妬心は強いんだけど、どちらかというと、病的な負けず嫌いなんだと思います。議論で自分がやり込められたりすることに耐えられなくて、全く違うことで反論したりする。時には逆恨みでそいつを遠くへ飛ばしたりしてね。ただ、本人がそれを逆恨みだと思っていないから、負けず嫌いな感情とイデオロギーが矛盾していないという感じかな。

 でもそんな人、社会に出るといっぱいいるでしょう? クラスや職場にいるちょっと困ったやつ。赤城はたまたまそんな状況に投げ込まれたから、デカイことをしでかしてしまっただけだと思うんですよね。

――山本先生は今まで可愛くてエロい女の子をたくさん描かれてきましたが、赤城はあまり可愛くないですよね……。

山本 正直、自分がマンガで描いていて楽しいのは、エロシーンだけなんですよ(笑)。話を考えるのは楽しいんですが、『レッド』はなかなかエロが出てこないから、描く作業は修行みたいなものですね。でも、赤城は描いているうちにだんだん可愛げが出てきて。モデルになった永田洋子も、ブスだから嫉妬心で美人を殺したと言われているけど、残された映像を見る限りそんなこともないと思っているんですよね。

■ミイラ取りがミイラに!? マンガ家のスピリチュアル思考の危険性

――このインタビューは「宗教とマンガ」がテーマなんですが、山本先生は萩尾望都先生の作品がお好きだそうで。萩尾先生の作品は、キリスト教をベースに描かれたものが多いですよね。

山本 萩尾先生や山岸凉子【註3】先生、あと諸星大二郎【註4】先生の作品は、大学時代によく読みました。あの世代の人たちって、外国映画や文学で教養を作るみたいなところがありましたよね。だからキリスト教というより、キリスト教文化が基礎になっているんじゃないかな。それはそんなに特別なことじゃなくて、昔の気の利いた若者は、だいたい外国映画を見ていたんだと思うんですよ。基礎教養というか、当時のサブカルみたいな感じじゃないですかね。

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