オカルト まどマギをスピ的に解説する PART3

魔法少女まどか☆マギカに凝縮された「カルマ」「輪廻」「アセンション」「キリスト」要素

2013.07.29

【ハピズムより】

――昨年、人気を博したアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』(毎日放送)、通称「まどマギ」。かわいらしい“萌えキャラ”が主人公なのだが、内容は深くて暗く、視聴者全員が意表をつかれた、突然の「残虐シーン」も話題となった。

 クライマックスまで目が離せない難解なストーリーゆえに、物語の解釈について今でも熱い議論が交わされているなか、スピ業界で活躍するとある中年が「まどマギは、ガチスピアニメ! スピ的に解釈すると納得がいく」と豪語。通称「スピおじさん」が、まどマギを「仏教」「宇宙人」「アセンション」の3つのスピキーワードを基に、3回に分けて解説する!

■スピリチュアル的な「無条件の愛」「集合無意識」が、魔女を倒すカギだった!!

 心優しく芯が強い性格、クラスでは保健委員を務め「キャリアウーマンの母」「専業主夫の父」「3歳児の弟」のあったかい家族に守られながら、魔法以外にはごく普通に暮らしている主人公まどか。日頃から自分には何の取り柄もないと思っている反面、誰かの役に立ちたいと常に考えていたまどかが、ついに魔力の使者キュゥべえと契約を結ぶのは最終回。

 ほむらを絶望の淵から救うために、まどかは「すべての魔女を、生まれる前に消し去りたい。すべての宇宙、過去と未来のすべての魔女を、この手で」と願うが、その願いは因果律に逆らい、宇宙を再編するほどのものだった。なぜなら、あらゆる絶望を唯一根底から絶ち切ることができるから。

 契約後、まどかは魔法少女に変身し、時空を越えて魔法少女を救い、永遠に魔女を消す呪いを受け止めるだけの存在(円環の理)と化し、その結果、自分の存在を覚えているのは、ほむらと、その名前に懐かしい響きを感じている肉親だけになる。

 この展開をスピ的に解釈すると、まどかの意識はあらゆる絶望をも包み込んでしまう善悪を超えた「無条件の愛」と一体化し、因果律の世界を超えた高い次元に上昇(移行)したということで、「アセンション(次元上昇)」の理屈と同じだということがわかる。アセンションとは、「意識の進化」「霊性の開花」「宇宙意識の目覚め」なんて言葉であらわされるように、二元性を超えた根源の世界(神)との一体化、仏教的に言えば肉体を持ったまま“悟りの境地”に至るっていう解釈が一般的で、だからこそまどかは、魔法少女の因果律(カルマ)を破ることができたってわけ!

 言い換えると、優しさと希望を失わなかったまどかのブレない願いによって、それまでの宇宙とは違うパラレルワールド(並行宇宙)が生じ、宇宙が再編された。……が、ゆえに、まどかは宇宙の法則を変える「神」に等しき存在へ変わってしまったといえるんじゃないかな。

 その点では、十字架にかけられて人類の罪を背負ったイエス・キリストの物語とも何となく似てる。

 でも、この物語はそこで終わらない。一見どこにでもいるような思春期の少女まどかが、紆余曲折を経ながら最終的に悟りを得て、因果を超えた世界に次元上昇した理由、それが「ほむらとの奇しき縁」として示されているのが、この物語の最大の見どころでもある。

 今の世界でほむらが最初にまどかに出会った時、「あなたは自分の人生が、貴いと思う? 家族や友達を、大切にしてる?」と問いかけ、「今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね。さもなければ、すべてを失うことになる」と忠告している。この言葉の意味が最終回で明らかになるんだけど、ここで暗示されているのが「輪廻転生」

 要するに、異次元(過去世)において、ほむらはまどかに助けられていて、その時の恩返しとして魔法少女になり、「時を渡る力」を手に入れて何度も何度も時空を旅しながらまどかを助けてきた。これは、2人が幾度も「輪廻」をくり返しながら共通のテーマ=「カルマ」にしっかりと向き合ってきたとも解釈できる。

 そんなソウルメイトである2人の絆をより強めたのが、最大の魔女「ワルプルギスの夜」という存在だ。かつて、まどかは単独で「ワルプルギスの夜」に挑んで敗北しているんだけど、この「ワルプルギスの夜」は、「人類全体のネガティブな集合無意識」とも解釈できる。集合無意識とは個々人の潜在意識が共鳴して寄り集まったもので、そこには不安や怖れ、不信感といったネガティブな意識も潜んでいる。「無条件の愛」ではなく、「利己心からの願望」は、ソコにアクセスしてしまって、結果的にネガティブな闇に吸収されてしまう、つまり「ワルプルギスの夜に勝ちたい」という利己的な願望だけでは、ワルプルギスの夜には勝てないのだ。

 でも、ほむらとまどかは過去の因縁の中で相手を活かす愛と友情を育み、気づきを得たらからこそ、最大の魔女=不安と怖れが生み出す「絶望」に打ち勝つことができたんじゃないかな。

 だからまどかは、最後にほむらにこう告げた。「ほむらちゃん、ありがとう。あなたはわたしの、最高の友達だったんだね」。

 そして、まどかの存在は誰の記憶からも消え失せた。けれど、ほむらの意識の底では、時空を超えたまどかの愛が、きっと今も響いているだろう。

 『魔法少女まどか☆マギカ』のプロットには、このようなたくさんのスピリチュアル要素が複合的に絡み合っていたからこそ、オトナも楽しめる重厚な内容になったのだと思われる。
(2012.12.29ハピズム既出)

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